2016 年 39 巻 4 号 p. 413b
【背景】肝臓は門脈血を介した消化管からの抗原刺激に晒されている.近年の自己免疫性肝炎の増加は過度な衛生環境に起因するといった衛生仮説とは逆説的に,本研究においては肝臓において腸管由来の抗原刺激の増加するマウス急性腸炎モデルを用いて,腸肝相関の観点から肝臓特有の免疫寛容誘導機序を明らかにすることを目的とした.【方法】我々はdextran sulfate sodium(DSS)腸炎の存在下で,急性肝障害を惹起するconcanavalin A(Con A)を投与し,腸炎が肝障害に及ぼす影響と肝臓内の免疫細胞の変化を以下の4群間で比較検討した(Water-PBS, Water-Con A, DSS-PBS, DSS-Con A).【結果】DSS-Con A群において,water-Con A群と比較し有意な肝障害の軽減が認められた(ALT 524±210 vs. 7311±1317U/l(p = 0.0015)).我々の過去の報告どおり,water-Con A群の肝臓内において高いTNF-α産生能を有するCCR9(+)CD11b(+)Mϕが増加する一方,DSS-Con A群ではIL-10産生能を有するCCR9(−)CD11b(+)Mϕの増加を認め,それらはnaive CD4 T cellsに対する分化誘導能を示さなかった.更に,DSS-Con A群の門脈血血清を投与した群では,正常マウス血清を投与した群に比してCon A肝障害の軽減が認められた(ALT 1938±586 vs. 8513±695U/l(p = 0.0339))【結論】腸炎+肝炎惹起時には,抗原提示能の低下したCCR9(−)CD11b(+)Mϕが誘導され,これらが肝免疫寛容の誘導に寄与する可能性が示唆された.