抄録
生体親和性ポリエチレングリコール(PEG)の製剤における有用性は周知の事実であるが、一方でPEGがもたらす生体応答に関心が高まっている。生体親和性を示すPEGの性質とPEGがもたらす抗PEG抗体産生という、一見すると、相反する性質は何によってもたらされているのだろうか。PEGは生体分子と弱いながらも相互作用を示すことが知られてきており、より特異的なPEGと抗PEG抗体という2つの分子の関係に着目すると、特異的相互作用と特異的相互作用に基づく、不可逆的な結合という2つの異なる相互作用に着目する必要がある。本稿では、PEGと抗PEG抗体との関係と、新たなアプローチの紹介を含めて概説する。