血清中の抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody: ANCA)陽性を特徴とする血管炎をANCA関連血管炎という.ANCAには疾患マーカーとしての意義があるのみならず,病原性がある.これまでANCAが血管炎を引き起こす機序として,ANCA-サイトカインシークエンス説が提唱されてきたが,近年の研究により,ANCAによる好中球の過剰な活性化には,サイトカインの異常産生に加え,好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps: NETs)の形成誘導も含まれることが明らかとなってきた.本総説では,ANCA関連血管炎の病態形成における好中球,好酸球,マクロファージ/樹状細胞,補体,B細胞/形質細胞,T細胞,サイトカイン/ケモカイン/細胞増殖因子の役割について概説する.