日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
総説
高齢関節リウマチ患者の治療戦略
竹田 剛
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 39 巻 6 号 p. 497-504

詳細
抄録

  近年の高齢化社会を反映して関節リウマチ(RA)患者も高齢化が進み,高齢で発症するRAも増加している.高齢者RAは若年発症し高齢化したRAと,60歳以上で発症したElderly onset rheumatoid arthritis(EORA)に分類される.高齢化RAでは骨破壊やADLに応じて,抗リウマチ薬に加え,鎮痛剤の使用,手術やリハビリテーションなど多面的治療が必要となる.一方発症初期のEORAではT2Tに準じて治療するが,低疾患活動性を目標にコントロールするのが現実的である.高齢者は多彩な合併症を有し多剤内服例も多いため,治療に当たり合併症や併用薬の把握と定期的なモニタリングを行うことが重要である.高齢者においてもメトトレキサート(MTX)が使用可能な場合は第一選択となり,2-4 mg/週の少量から開始し慎重に漸増する.腎障害や認知機能の低下により,MTXを使用出来ない症例では生物製剤も選択肢となる.MTX非併用で生物製剤を使用する際は,単剤で有効性の高い製剤を選択し,ステロイド剤は感染症のリスクを軽減するため極力減量する.増加しつつある超高齢RAの治療は今後の課題となる.

著者関連情報
© 2016 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top