日本臨床免疫学会会誌
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ワークショップ2 低分子化合物と生物学的製剤の長所と短所
WS2-2 全身性エリテマトーデスを対象とした生物学的製剤・低分子化合物を用いた臨床研究
佐田 憲映
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2017 年 40 巻 4 号 p. 265b

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抄録

  全身性エリテマトーデス(SLE)患者は様々な臓器障害を伴う不均一な集団であり,均質な対象集団の設定や適切なアウトカムの定義が困難であったため,新たな薬剤の有効性を評価するための臨床試験の施行が困難な時代が続いた.特に主要な障害であるループス腎炎では,免疫複合体の沈着部位により多様な活動性病変を呈することに加え,再燃を繰り返せば慢性病変が加わるため,それら多様な病変を尿蛋白と血清クレアチニンをアウトカムとして有効性を評価するには限界があり,種々の免疫抑制薬に加え,リツキシマブやアバタセプトなどの生物学的製剤の有効性を評価するための臨床試験で,期待されるような成果が得られて来なかった.ベリムマブを用いた臨床研究では,複合的なアウトカムの設定とループス腎炎を対象から除外することで有効性を証明することに成功し,本邦の患者に対しても使用な可能となる予定である.本シンポジウムではこれまでに行われた生物学的製剤,低分子化合物を用いた臨床試験のデザインおよび結果をレビューし,それらの薬剤のSLE治療における可能性について議論したい.また現在行われている生物学的製剤,低分子化合物を用いた臨床試験も取り上げて,そのデザインや期待される結果についても議論したい.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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