日本臨床免疫学会会誌
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ワークショップ5 慢性炎症と免疫不全
WS5-4 全身性エリテマトーデスと免疫不全
沢田 哲治太原 恒一郎
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2017 年 40 巻 4 号 p. 271b

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抄録

  全身性エリテマトーデス(SLE)は遺伝要因を有する個体に環境要因が作用して発症する慢性炎症性疾患であり,自己抗体や免疫複合体の出現,I型インターフェロン産生異常などを特徴とする自己免疫疾患である.SLEを含む自己免疫疾患と免疫不全は相互に関連するが,その関連性は多様である.原発性免疫不全症は免疫関連遺伝子異常を原因とする遺伝性疾患でその主要症状は感染症であるが,しばしば自己免疫異常を合併する.例えば,先天性補体欠損症(C1q欠損症など)では,生体防御能や免疫複合体除去能力の低下による易感染性に加えてSLE様など自己免疫異常を高頻度に合併する.一方,SLEの主要な病態は自己免疫であるが,疾患感受性遺伝子の多くは免疫関連遺伝子であり,SLE自体で免疫不全状態をきたしうる.稀であるが,免疫グロブリン異常としてSLE診断時あるいは治療開始後に分類不能型免疫不全症(CVID)を呈した症例が報告されており,SLE自体あるいは免疫抑制療法によるものと考えられる.B細胞以外にも他の獲得免疫系や自然免疫系の異常も影響を受ける可能性がある.さらに,実臨床ではステロイドや免疫抑制薬の投与が細菌やウイルス,日和見感染症の発生要因となることが多い.本演題ではSLEと免疫不全との関連,SLE患者に生じる易感染とその機序について概説する.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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