神経免疫学は,中枢神経系・末梢神経系・自律神経系・筋肉における免疫現象の解明を目的とする,学際的色彩の濃い学問領域である.神経系と免疫系は共に生命の本質である「自己を守る」働きを担うが,分子レベルから臓器レベルまで,複雑な相互作用がある.ともに周囲の環境─情報や異物─が発達期に大きな影響を与える.歴史的に多発性硬化症やギランバレー症候群,重症筋無力症,筋炎,傍腫瘍性神経症候群などが研究対象となり学問の進歩を引っ張ってきた.最近は,神経免疫学の裾野が広がり,認知症や脳卒中,てんかん,精神疾患なども神経免疫学の守備範囲となってきた.血液脳関門などの「バリア」の問題,中枢神経系を場とする組織マクロファージであるミクログリア研究,マイクロバイオームの神経系への関与などの最近の話題も含め,本セミナーでは,神経免疫学の深まりと広がりを紹介できればと考えている.