多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM)では様々な自己抗体が検出され,特に筋炎特異的自己抗体(MSA)が数多く存在することが特徴的である.PM/DMでは各々のMSAに対応するような臨床的意義が報告されており,MSAによって筋炎を分類する考え方が広まりつつある.また,予後もMSAによって異なるため,治療方針にも大きく影響を及ぼしうる臨床指標となりつつある.PM/DMにおいて最も高頻度(約30%)に認められる自己抗体は抗ARS(アミノアシルtRNA合成酵素)抗体であり,主に6種類(抗Jo-1, PL-7, PL-12, EJ, OJ, KS抗体)存在する.その他には抗MDA5(melanoma differentiation-associated gene 5)抗体,抗TIF1-γ抗体,抗SRP抗体,抗Mi-2抗体,抗NXP2抗体,抗HMGCR抗体などが存在する.抗ARS抗体,抗MDA5抗体は間質性肺炎と強い相関があり,それぞれ慢性型,急性/亜急性型と関連する.抗TIF1-γ抗体は悪性腫瘍と,抗SRP抗体は難治性重症筋炎と,抗HMGCR抗体はスタチン関連筋炎とそれぞれ関連が指摘されている.本セミナーでは各MSAの意義とともに,個々の症例の治療方針やマネジメントにおいてそれをどのように生かすかについて概説する.