日本臨床免疫学会会誌
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ビギナーズセミナー
BS5 臨床家のためのエピジェネティックス入門
中島 秀明
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2017 年 40 巻 4 号 p. 274a

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抄録

  次世代シーケンスの発展によってゲノムの塩基配列が簡便かつ高速に手に入る時代になった.腫瘍性疾患や先天性疾患を中心に様々な疾患のゲノム情報が解析され,原因となる遺伝子変異が次々と明らかにされている.しかしこのようなジェネティック(genetic)な情報,すなわちDNAの塩基配列だけでは生命現象を理解することはできない.それらの情報が細胞の中でいかに使われるのか,それを決めるエピジェネティックス(epigenetics)とよばれる調節機構が極めて重要であり,今大きな注目を集めている.エピジェネティックスとは,メチル化・アセチル化などのヒストン修飾やDNAメチル化を制御する仕組みのことである.このようなヒストン修飾・DNAメチル化のことをエピゲノム修飾とよび,これらは周辺のクロマチン構造やDNAの状態に影響を与えることで遺伝子の転写を間接的に制御している.すなわちエピゲノム修飾は遺伝子発現を制御するゲノム上の目印として働いており,個体発生や細胞の分化・増殖など生命現象の根幹を担っているといっても過言ではない.近年,様々な腫瘍でエピゲノム制御因子の変異が高頻度に認められることが発見され,腫瘍発生にエピゲノム異常が深く関与していることが明らかとなってきた.本セミナーでは,臨床家が覚えておくべきエピジェネティックスの基本と,疾患状態におけるエピジェネティックスの異常について概説する.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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