2017 年 40 巻 4 号 p. 276b
いうまでもなく免疫応答の制御において,樹状細胞やマクロファージは其々に重要な役割を担っている.腫瘍免疫においても,マクロファージは以前より,種々の癌組織の周囲に浸潤する性質を持つことが知られており,癌の増殖を促進するTAM(tumor-associated-macrophages)の存在が報告されている.一方,マクロファージの抗腫瘍効果についての報告もあり,IFN-γで刺激したマクロファージの投与がpreclinical studyで試みられたが良い効果は得られていない.ここでは,免疫細胞療法におけるマクロファージの免疫細胞としての可能性を,我々が行っているヒトiPS細胞由来マクロファージ様細胞による研究を中心に述べたい.腫瘍組織に浸潤するマクロファージの性質を活かし,かつ腫瘍組織局所で強力な抗腫瘍効果を発揮できる免疫細胞療法の開発を目指し,iPS細胞から分化誘導したマクロファージ様細胞に遺伝子改変によりI型インターフェロンを遺伝子導入してインターフェロン産生能を持たせ,腫瘍局所で抗腫瘍効果を発揮できる細胞を作製し,この細胞を用いた種々の癌に対する腫瘍抑制効果についてこれまで報告してきたが,悪性黒色腫を中心にそれらについて概説し,今後の展望について述べたい.