2017 年 40 巻 4 号 p. 282a
炎症性腸疾患の診療は,近年激変している.まず,炎症性腸疾患の患者数が急増しており,炎症性腸疾患は,もはや専門医だけが診る病気ではなく,一般消化器内科であれば誰でも診療する時代になっている.さらに,治療目標が「症状の緩和」から「粘膜治癒」へと大きく引き上げられた.治療面では,抗TNFα抗体製剤の成功に端を発し,炎症性腸疾患に対する様々な分子標的薬が急速な勢いで開発されてきている.現在,炎症性腸疾患に対して開発されている分子標的薬を大別すると,1)炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-23に対する抗体,2)腸管へのリンパ球遊走を阻害する抗体・経口薬,3)JAK阻害薬,に大別される.炎症性腸疾患に対して,JAK阻害薬が5種類,抗IL-23抗体,抗インテグリン抗体がそれぞれ3種類ずつ,国際共同治験として開発中である.その他にも,経口α4インテグリン阻害薬,経口S1P受容体アゴニストなども開発されている.これらの薬剤の多くは,Phase 2の段階で有望な結果が得られており,炎症性腸疾患に対する新しい治療薬として近い将来上梓されると考えられる.このように,炎症性腸疾患に対して,数年以内に作用機序の全く異なる複数の薬剤が使用できるようになり,治療体系が激変することが予想される.個々の患者の病態を正しく理解した上で,これらの薬剤を使いこなすことが,今後さらに求められるであろう.