日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
一般演題(ポスター) 1 感染症
P1-23 自己免疫疾患および血液疾患を背景としたサイトメガロウイルス胃腸炎における臨床像の検討
蜷川 慶太神田 真聡芳野 正修清水 裕香深谷 進司菊池 英明
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 40 巻 4 号 p. 303c

詳細
抄録

【背景と目的】免疫抑制状態におけるサイトメガロウイルス(CMV)感染症は致死的な感染症の一つである.その主要臓器病変であるCMV胃腸炎をまとめた報告は少ないため臨床像を検討した.【方法】2011年4月から2017年5月までに当院で病理学的にCMV陽性の消化管病変を認め,抗ウイルス薬で治療した自己免疫疾患・血液疾患(炎症性腸疾患を除く)を持つ患者を対象とした.背景因子,血液検査,病変の形態,治療内容を後向きに検討した.治癒後再発なく経過したものを予後良好,病理学的診断後に再発・死亡したものを予後不良とした.【結果】当該症例は24例で,男性14例,年齢中央値69[49-86]歳であった.16例が予後良好,8例が予後不良でうち2例が診断後60日以内に死亡した.背景疾患は関節リウマチ,血管炎,その他が8,5,11例であった.初発症状は腹痛が最多で,穿孔は1例,無症状は6例あった.病変部位は胃が14例,十二指腸,回腸,結腸,直腸が3,2,3,2例であった.内視鏡的所見では深い潰瘍が9例,発赤が17例,辺縁のびらんが20例,円形・直線状が11例,白苔ありが19例,多発が21例であった.血液検査ではリンパ球数やAlb,IgGが低値であった.治療薬はガンシクロビルが23例で使用された.全治療期間は中央値が15日で,9例で維持治療が行われた.18例が初期治療後内視鏡を施行され,5例が治癒確認後再燃していた.【結語】サイトメガロウイルス胃腸炎の臨床像に関して検討を行った.

著者関連情報
© 2017 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top