日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
一般演題(ポスター) 2 新しい標的分子と疾患制御
P2-4 DNAマイクロアレイによるシェーグレン症候群の唾液腺における遺伝子発現解析
高橋 広行坪井 洋人浅島 弘充近藤 裕也松本 功住田 孝之
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 40 巻 4 号 p. 309d

詳細
抄録

【目的】シェーグレン症候群(SS)とIgG4関連疾患(IgG4-RD)の口唇唾液腺(LSG)における遺伝子発現を比較し,SSの病態に関与する遺伝子とその機能を明らかにする.【方法】1. SS患者,IgG4-RD患者,健常者のLSGの遺伝子発現をDNAマイクロアレイにより網羅的に比較し,SSで発現が上昇した発現変動遺伝子(DEG)の中から,上位150位以内,発現量高値であり,群内の分散が小さく,T細胞との関連が報告されている遺伝子につき,定量PCRによるValidationを行った.2. 有意なDEGにつき,免疫蛍光染色によりLSGにおけるタンパク質発現の解析を行った.3. 末梢血CD4陽性T細胞(健常者,SS患者)を用いてDEGの機能解析を行った.【結果】1. IgG4-RDと比較し,SSで発現が上昇したDEGとして1320遺伝子を抽出し,このうちNR4A2,CD26はSS患者のLSGで発現が有意に増加した.2. SS患者のLSGに浸潤したCD4陽性T細胞,IL-17産生細胞においてNR4A2は核内に特異的な発現を認めた.3. SS患者の末梢血CD4陽性T細胞は,健常者よりNR4A2を有意に高発現し,Th17分化傾向が有意に亢進した.SS患者では健常者と比較し,Th17分化条件下におけるNR4A2核内発現率が有意に亢進した.Th17分化条件ではImportin阻害剤によりNR4A2核内発現率は有意に低下し,IL-21 mRNA発現,IL-17産生細胞数は有意に減少した.【結論】NR4A2はSSのCD4陽性T細胞に高発現し,核内局在が亢進することで,Th17細胞への分化亢進に寄与する可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2017 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top