日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
一般演題(ポスター) 2 膠原病の診断2
P2-21 抗KS抗体陽性患者では嚢胞性病変を伴う肺病変が多い
渡邉 駿介白井 悠一郎岡崎 有佳五野 貴久岳野 光洋桑名 正隆
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 40 巻 4 号 p. 314a

詳細
抄録

【目的】抗KS抗体陽性患者の臨床特徴を検討する.【方法】2006年9月から2017年4月に当院を受診し,多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM)/筋力低下の乏しい皮膚筋炎(CADM)または間質性肺疾患(ILD)と診断された症例のうち,RNA免疫沈降法によって抗aminoacyl tRNA synthetase(ARS)抗体が血清中に検出された43例を対象とした.診断時の臨床背景と転帰について後ろ向きに解析し,臨床特徴がまだ十分明らかでない抗KS抗体陽性例(KS例)と非KS例に層別化して比較検討した.【結果】抗ARS抗体陽性43例(女性31例)の発症年齢は62.7±13.4歳,発症後の観察期間は4.2±4.2年であった.臨床診断はPM 3例,DM 4例,CADM 6例,ILD 30例であった.抗ARS抗体の内訳は,KS 12例,EJ 11例,PL-7 8例,Jo-1 7例,PL-12 4例,OJ 2例だった.KS 12例を非KS 31例と比較したところ,筋力低下を伴う筋病変は0例(0%),7例(23%)と少ない傾向にあった(p = 0.1).肺病変は12例(100%),29例(94%)に見られ,胸部CT所見ではUIP/NSIPパターンは両群で差はなかったが,KS例で嚢胞性病変が有意に多かった(p = 0.001).ヘリオトロープ疹,ゴットロン徴候,メカニックハンドは両群で差は見られず,関節炎はKS例で少ない傾向にあった(p = 0.09).観察期間中に0例,4例が死亡したが,累積生存率に差は見られなかった(p = 0.2).【結論】抗KS抗体陽性例は,筋病変が乏しく,嚢胞性病変を伴う肺病変が多い特徴を有し,比較的経過が良好であった.

著者関連情報
© 2017 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top