2017 年 40 巻 4 号 p. 314b
【背景】RAにおける軟骨破壊は,X線検査において関節裂隙狭小化(JSN)として評価されるが,直接的な軟骨の画像評価ではない.今回,軟骨の直接評価が可能である超音波検査を用いてRAにおけるJSNとの比較と共に臨床像との関連を検討した.【方法】低疾患活動性もしくは寛解RA患者(DAS28-CRP 2.7未満)121例を対象に,超音波検査で第2指から第5指のMCP,PIP関節の軟骨を観察,軟骨厚を測定した.軟骨測定は各関節を最大屈曲位(90度)として背側縦断像にて観察し,軟骨表面の線状高エコーから骨表面までの距離を測定した.更に2ヶ月以内に手X線検査を施行した症例はvan der Heijde- modified Sharp法によって手指のJSNスコアを計算した.【結果】RA患者の8関節の軟骨厚合計は4.0-9.4 mm(中央値6.9mm)で,合計軟骨厚はJSNスコアと相関を認めた(ρ = −0.607,p < 0.001).またMCP,PIP関節それぞれにおいても相関を認めた.8関節合計の軟骨厚は罹病期間と弱い相関を有意に認めたが,MCP関節の軟骨厚は罹病期間と有意な相関を認めるもPIP関節においては有意ではなかった.年齢,体重,DAS28-CRP,HAQ-DI,血清学的反応,治療有無との間には,軟骨厚およびJSNスコアともに明らかな関連は認められなかった.【結語】関節超音波による軟骨厚測定はJSNスコアと関連が認められ,特にMCP関節における軟骨評価の有効な手段と考えられた.