2017 年 40 巻 4 号 p. 317d
CXCL17は近年新たに発見されたCXCケモカインであり,血管新生の促進およびmyeloid-derived suppressor cell(MDSC)の誘導により,腫瘍増殖を促すことが知られている.しかし,炎症性疾患におけるCXCL17の役割については報告が少ない.今回我々は,炎症性皮膚疾患におけるCXCL17の発現,役割について検討を行った.まず,アトピー性皮膚炎,尋常性乾癬患者におけるCXCL17の発現を調べたところ,乾癬患者の病変部皮膚においてCXCL17 mRNAの発現が上昇しており,表皮角化細胞でCXCL17の高発現が見られた.また,表皮角化細胞におけるCXCL17の誘導には,IFN-γが重要であることを見出した.次にCXCL17を局所投与することで,イミキモド誘発乾癬様皮膚炎モデルにおけるCXCL17の役割を検討したところ,CXCL17はMDSC,regulatory T cell(Treg)を誘導することによってIL-10の発現を増強し,乾癬関連の炎症性サイトカインの発現を抑制し,その結果皮膚炎を抑制することが明らかとなった.さらに,このCXCL17による皮膚炎抑制効果は,CCL4,CCL5の中和抗体投与により打ち消された.MDSCはCXCL17の受容体であるGPR35を発現しているが,TregはGPR35を発現していないことから,CXCL17はMDSCを直接的に遊走し,MDSCがCCL4やCCL5を介してTregを誘導し,イミキモド誘発乾癬様皮膚炎を抑制したと考えた.