2017 年 40 巻 4 号 p. 317c
【背景と目的】B細胞除去の臨床的効果によって,全身性強皮症(SSc)の病態におけるB細胞の抗体非依存性エフェクター機能,特にサイトカイン産生能が着目されるようになった.中でもIL-4によるGM-CSF産生B(GM-B)細胞の誘導は非常に興味深い.IL-4はSSc病態に深く関与することから,今回我々は本疾患におけるヒトGM-B細胞の役割について検討した.【方法】健常人とSSc患者の末梢血B細胞ならびにサブセットのGM-CSF産生能をmRNAおよび蛋白レベルにて評価した.またGM-B細胞とSScの臨床像との相関解析,そしてCD14陽性単球との共培養下でのGM-B細胞の機能解析を行った.【結果】ヒトCD4+ T細胞由来サイトカインの中でIL-4は最も強力にGM-B細胞を誘導し,GM-CSFの産生はエフェクター細胞への特定の分化段階において観察された.SSc患者では健常人と比較しGM-B細胞は優位に増加し,naive・memory B細胞サブセットのいずれでもGM-B細胞の増加を認めた.Diffuseおよび間質性肺炎を合併したSSc症例においてはmemory B分画での有意なGM-B細胞の増加を認めた.GM-B細胞はCD14陽性単球の樹状細胞への分化を促進した.【考察】GM-CSF産生性エフェクターB細胞は骨髄系細胞への作用を介しSScの病態に関与している可能性がある.