2017 年 40 巻 4 号 p. 319d
【目的】われわれは眼内悪性リンパ腫(IOL)の眼内液中可溶型サイトカイン受容体濃度を測定し,IOLの臨床像との関連を調べた.【方法】2008年1月~2015年6月に九州大学病院眼科で硝子体手術を施行したIOL群21眼,EU群20眼,対照(C)群21眼の,手術時に採取した眼内液中sCD30,sIL-1R1,sIL-1R2,sIL-2Rα,sIL-4R,sIL-6R,sgp130,sRAGE,sTNFR1,sTNFR2,sVEGFR1,sVEGFR2,sVEGFR3の濃度をHuman Soluble Cytokine Receptor panel(Millipore)で測定した.IOL群では網膜下浸潤病変の有無,原発部位(中枢神経系と非中枢神経系)など,臨床像との関連を調べ,さらに硝子体セルブロック由来薄切免疫染色標本での眼内浸潤細胞におけるCD3陽性細胞数の割合との相関についても調べた.【結果】sIL-2Rα,sTNFR1,sTNFR2,sVEGFR1,sVEGFR2がIOL群でEU群及びC群よりも,sIL-1R1,sIL-1R2,sIL-4RはEU群でIOL群及びC群よりも有意に高かった.IOL群で,眼内液中sVEGFR1及びsVEGFR2が非中枢神経系原発例で中枢神経系原発例よりも高く(p < 0.01),sIL-2Rαが網膜下病変を伴う群では伴わない群よりも有意に高かった(p < 0.01).また,眼内液中sIL-2Rαの濃度とCD3陽性細胞数の割合に正の相関がみられた(p < 0.01).【結論】IOLにおいて,眼内液中sVEGFR1とsVEGFR2が非中枢神経系と中枢神経系との鑑別に利用できる可能性がある.また,IOLの網膜下浸潤とTリンパ球との関連が示唆された.