2017 年 40 巻 4 号 p. 320a
免疫チェックポイントPD-1/PD-L1阻害薬の治療抵抗性機序として,腫瘍関連マクロファージ(TAM)が関与するがん微小環境の免疫抵抗性環境が報告されている.そこで本研究では,単球/マクロファージの分化・動員に関わるCSF-1の受容体(CSF1R)阻害の,がん微小環境改善作用および抗腫瘍T細胞応答の改善作用を検討した.マウスMC38大腸癌移植モデルにおいて,抗CSF1R抗体あるいはCSF1R阻害剤の投与により,がん組織TAMは減少し,所属リンパ節と腫瘍内の腫瘍抗原特異的CD8+T細胞応答の増強を介した,腫瘍増殖抑制効果が認められた.また,抗PD-1抗体との併用により,MC38移植モデル,さらにはTAMを含む免疫抑制性細胞誘導効果が強く,抗PD1抗体抵抗性のTGF-β遺伝子導入CT26大腸癌移植モデルに対しても治療効果は増強し,腫瘍の完全退縮も認められた.したがって,CSF1R阻害は,強力なTAM減少作用によるがん微小環境の改善作用を介して抗腫瘍T細胞応答を増強し,PD-1/PD-L1阻害治療の抵抗性の克服,治療効果の増強に有用であることが示された.