日本臨床免疫学会会誌
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胸腺上皮細胞培養上清の血小板凝集および血小板内cyclic nucleotide量に対する影響について
橋本 修一水野 嘉夫村岡 松生土屋 雅春
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1987 年 10 巻 1 号 p. 10-18

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抄録
重症筋無力症患者から得た胸腺上皮細胞の培養上清(STEC)中には,家兎洗浄血小板のADP凝集,トロンビン凝集のいずれをも濃度依存的に阻害し,血小板内cyclic AMP, cyclic GMP量を増加する因子が存在した.対照として用いたChang, Hela, HCC-Mの細胞培養上清中には, STEC様の生物活性は認められなかった. STECの血小板凝集阻害作用および血小板内cyclic AMPの増加作用は,いずれもSTEC添加後2分以内に最大活性の50%以上が出現するきわめて早い反応であり,これら活性は分子量1,000以上の分画中に大部分存在しており, STECのpronase処理で消失し,熱に対して比較的安定していることがわかった. STEC中には,培養溶液中の2倍量のprostaglandin E誘導体が存在していたが, Ca++, adenine, adenosine, guanine, guanosineの含量に有意な変化は認められなかった.
以上の結果から, STEC中には血小板に対して生物活性を有する複数の物質が遊離してきており,これら物質は活性ポリペプタイドとprostaglandin E類であることが強く示唆された.
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