抄録
経口的非特異的免疫療法の可能性を考慮して,大腸癌患者においてOK-432を経口投与し,所属リンパ節の免疫学的活性および免疫組織学的にT細胞亜群の検討を行った.
OK-432 20KEを手術1週間前に経口投与し,手術時に末梢血および所属リンパ節を採取した.末梢血リンパ球におけるリンパ球幼若化反応, Con-A誘導サプレッサー細胞活性は経口投与群および非投与群において差を認めなかった.所属リンパ節においては,経口投与群では非投与群に比べNK細胞活性は有意に増強され(p<0.05),またCon-A誘導サプレッサー細胞活性は低下した.さらに経口投与群においては, OKT 8陽性およびLeu 7陽性細胞が増加した.こうしたことより,臨床的にOK-432経口投与により大腸癌所属リンパ節の免疫活性が賦活されることが示された.