日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
がん患者脾におけるnatural killer細胞活性とサプレッサー細胞活性
柳川 悦朗峠 哲哉荒谷 清司沢村 明広山田 博文藤田 毅山口 佳之国延 浩史服部 孝雄
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 10 巻 1 号 p. 45-51

詳細
抄録
胃がんあるいは食道がん患者脾細胞(SC)のnatural killer (NK)細胞活性,および非特異的リンパ球幼若化反応に対するサプレッサー細胞活性とを脾静脈血(SVL)あるいは末梢血リンパ球(PBL)と対比して検討した.がん患者PBLのNK細胞活性は有意に低下しており, SVLに比べやや低い傾向を示したが,両者のNK細胞活性は病期の進行とともに低下する傾向がみられた.しかし, SCにおいては病期による影響は少なく,進行例でも高い活性を示した.一方,サプレッサー細胞活性の上昇は病期の進行とともに明らかとなり, SC, SVLあるいはPBLにサプレッサー細胞活性の認められる場合それぞれのNK細胞活性は低値を示した.また, SCにサプレッサー細胞活性が認められる例ではSVLおよびPBLのNK細胞活性は低値を示した.以上より,進行がん患者の脾はサプレッサー細胞活性が優位であり,非特異的サプレッサー細胞はNK細胞活性を制御している可能性が示唆された.
著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top