抄録
胃がんあるいは食道がん患者脾細胞(SC)のnatural killer (NK)細胞活性,および非特異的リンパ球幼若化反応に対するサプレッサー細胞活性とを脾静脈血(SVL)あるいは末梢血リンパ球(PBL)と対比して検討した.がん患者PBLのNK細胞活性は有意に低下しており, SVLに比べやや低い傾向を示したが,両者のNK細胞活性は病期の進行とともに低下する傾向がみられた.しかし, SCにおいては病期による影響は少なく,進行例でも高い活性を示した.一方,サプレッサー細胞活性の上昇は病期の進行とともに明らかとなり, SC, SVLあるいはPBLにサプレッサー細胞活性の認められる場合それぞれのNK細胞活性は低値を示した.また, SCにサプレッサー細胞活性が認められる例ではSVLおよびPBLのNK細胞活性は低値を示した.以上より,進行がん患者の脾はサプレッサー細胞活性が優位であり,非特異的サプレッサー細胞はNK細胞活性を制御している可能性が示唆された.