2019 年 75 巻 5 号 p. I_351-I_362
2011年の東日本大震災以降,各地で防潮堤などの海岸保全施設の整備が進行中であるが,その建設費・維持費が巨額であることなどの懸念事項がある.一方で,津波には浸水想定区域外への移転という根本的な対策もあるが,新たな建物の建設などに多額の資金を要するという課題が存在する.以上の背景から,大槌町と浜松市を対象として海岸保全施設整備と防災移転の費用便益分析を通した津波防災のあり方の検討を行った.行政による浸水想定のGISデータを用いて解析した結果,両地域において概ね海岸保全施設の整備の方が費用便益比は大きいものの,いずれの事業も直ちに実施に十分な経済的効率性を有すると判断できず,施設規模の縮小や,浸水想定区域外への長期的な誘導の形で移転を行うなどの改善を要することが分かった.