日本臨床免疫学会会誌
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肝細胞癌患者におけるRecombinant interleukin 2連続静脈内投与によるLymphokine activated killer活性の増強
藤川 正直栄枝 弘司岩村 伸一松浦 靖井戸 英司松永 洋一前田 隆西原 利治大西 三朗伊藤 憲一
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1987 年 10 巻 2 号 p. 201-206

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抄録
我々は肝細胞癌患者(HCC)に対しlymphokine activated killer (LAK)細胞を用いた養子免疫療法を施行する上で2つの障害点,すなわち, 1) HCCではLAK活性の誘導が困難である, 2)血清中にLAK誘導阻害因子が存在することを指摘してきた.そこで今回HCC 14症例に対して連続5~27日間recombinant interleukin 2 (rIL-2) 15μg/dayを静脈内に投与し,担癌生体に及ぼす免疫学的影響を観察し,予備的に治療効果につき検討を加えた.その結果rIL-2投与前LAK活性が異常低値を示した12例中9例でLAK活性はrIL-2投与後著明に増強され, LAK細胞を用いた養子免疫療法の施行が可能と考えられた.また臨床的にも血中α-fetoprotein (AFP)値が異常高値を示した13例中5例でAFP値が25%以上低下する成績が得られた.従ってHCCに対するrIL-2の静脈内連続投与は, HCCにおけるLAK細胞の誘導が困難であるとの障害点を克服する手段として有用と考えられた.
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