抄録
我々は肝細胞癌患者(HCC)に対しlymphokine activated killer (LAK)細胞を用いた養子免疫療法を施行する上で2つの障害点,すなわち, 1) HCCではLAK活性の誘導が困難である, 2)血清中にLAK誘導阻害因子が存在することを指摘してきた.そこで今回HCC 14症例に対して連続5~27日間recombinant interleukin 2 (rIL-2) 15μg/dayを静脈内に投与し,担癌生体に及ぼす免疫学的影響を観察し,予備的に治療効果につき検討を加えた.その結果rIL-2投与前LAK活性が異常低値を示した12例中9例でLAK活性はrIL-2投与後著明に増強され, LAK細胞を用いた養子免疫療法の施行が可能と考えられた.また臨床的にも血中α-fetoprotein (AFP)値が異常高値を示した13例中5例でAFP値が25%以上低下する成績が得られた.従ってHCCに対するrIL-2の静脈内連続投与は, HCCにおけるLAK細胞の誘導が困難であるとの障害点を克服する手段として有用と考えられた.