日本臨床免疫学会会誌
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10 巻, 2 号
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  • 西谷 裕, 太田 光煕
    1987 年 10 巻 2 号 p. 113-122
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 松田 重三, 合地 研吾, 安部 英
    1987 年 10 巻 2 号 p. 123-129
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    human immunodeficiency virus (HIV)抗体の検査を希望して当内科を受診した男性同性愛者192名を対象に,彼らの日常の性行動(男性同性愛行為で接触した人数,相手の国籍,肛門性交の経験の有無)を問診により聴取するとともに,各種免疫学的検査(リンパ球サブセット検査, interleukin 2産生能,好中球貪食能, PPD皮膚反応),および梅毒血清反応,各種ウイルス(B型肝炎ウイルス,単純ヘルペス,帯状ヘルペス,サイトメガロウイルス, EBウイルス)抗体価の測定を行なった.今回検査した192例の血清中のHIV抗体は全例陰性であったが, CD4+リンパ球の減少, CD8+リンパ球の増加, CD4+/CD8+比の減少などTリンパ球サブセットの異常が約1/3の症例に存在し, CD11+リンパ球は70%以上の症例で中等度~高度に増加していた.梅毒血清反応とB型肝炎ウイルス抗体陽性率は一般健康人に比し有意に高く,また他のウイルス抗体価も高値で,特にサイトメガロウイルス抗体価が高い症例のCD11+リンパ球は増加する傾向にあり,ウイルス再活性化との関連が示唆された.しかし,これら異常と,彼らの性行動との間には相関はみられなかった.好中球機能, interleukin 2産生能, PPD皮膚反応は全例正常であった.以上より, HIV抗体陰性であっても,日本人男性同性愛者の免疫機能は少なからぬ症例で低下しており, HIVなどに対し易感染状態にあることが示唆された.
  • 長江 聡一
    1987 年 10 巻 2 号 p. 130-142
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒツジ赤血球は電気泳動的に均一であり,タンニン酸処理したヒツジ赤血球は生物学的活性を有する微量の物質を吸着し,そのために生ずる表面荷電の変化を電気泳動試験により的確にとらえることができる.最近開発された自動分析用細胞電気泳動装置(島津製作所)は,タンニン酸処理ヒツジ赤血球の表面荷電の変化をコンピューターによって自動的に,かつ再現性に富んだ観測ができる装置である.これを利用して,タンニン酸処理ヒツジ赤血球にヒト腎移植症例血清,癌患者血清,輸血を受けたマウス血清,リンパ球混合培養(MLC)の上清や種々の薬剤によるリンパ球刺激培養上清, IL-2, IAPなどを作用させ,それぞれのタンニン酸処理ヒツジ赤血球の表面荷電の変化を検索した.ヒト腎移植症例血清による検索では,拒絶反応が起こらない場合タンニン酸処理ヒツジ赤血球の電気泳動(TEEM)は変化しなかったが,拒絶反応が起こる場合拒絶反応の前にTEEMは加速する傾向にあった(p<0.005).また拒絶反応が回復する場合TEEMは遅延する傾向にあった.癌患者血清によるTEEMと健常人血清によるTEEMの間には有意の差は認められなかった.輸血を受けたマウス血清によるTEEMは非輸血群に比し差異はなかった. MLC, PHAそしてPPDによるリンパ球刺激培養上清によるTEEMも変化は認められなかった. IL-2およびIAPによってもTEEMは変化しなかった.これらの結果は,臨床的に拒絶反応と診断される前に, TEEMを速める, IL-2でもIAPでもない何らかの生物学的活性因子が血清中に既に放出されていることを示唆するものであり,ヒト腎移植の分野で今後TEEMにより拒絶反応の早期診断および予後の判定を可能にするものと思われた.
  • 新保 敏和, 高橋 比路美, 深沢 潔
    1987 年 10 巻 2 号 p. 143-151
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Human peripheral blood monocytes are the reticuloendotherial cells, which are known to act on the elimination of soluble immune complexes in vivo. Phagocytosis of soluble immune complexes by phagocytes has been detected by radioimmunoassay. We described here new method of the measurement using enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA). Peroxidase-anti-peroxidase soluble complex (PAP) was used as a soluble immune complex in this method. Monocytes were isolated from peripheral blood mononuclear cells by their adherent activity to plastic culture dishes. Monocytes (5×104 per well in 200μl of medium) were placed in the wells of a 96-well culture microplate and mixed with 100μl of PAP after culturing for 24 hs. The cells were then incubated in a humidified atmosphere of 5% CO2 at 37°C for 60min. After washing four times with cold phosphate buffered saline, 100μl of 1% Nonidet P 40 was added to each well to destroy the monocytes. Fluid (50μl) from each well was placed in the wells of a flat-bottom microplate for ELISA and then 150μl ABTS at 0.2mg/ml in substrate buffer was added to each well. After 60min at room temperature, the plate was scanned in a microplate ELISA reader at a wavelength of 405nm, with correction being made for medium controls.
    The phagocytic activity of monocytes was not observed at 4°C, and was suppressed in the presence of a specific inhibitor of glycolysis (2-deoxyglucose) and blockers of oxidative metabolism (NaN3, KCN). Aggregated IgG also suppressed the phagocytosis. As a result, the phagocytic activity of monocytes detected by this method was thought to be dependent on temperature, cellular metabolism or Fc receptors.
    Moreover, we examined the effect of lymphokines on this monocyte activity. The phagocytic activity was enhanced by the addition of 48-h culture supernatant from tonsil lymphocytes stimulated with concanavalin A, and by gamma- and beta-interferon, but not by alpha-interferon or interleukin 2.
  • 安島 裕之
    1987 年 10 巻 2 号 p. 152-160
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Oyster-glycogen刺激によるラット腹腔内好中球集積と好中球活性酸素産生に及ぼすprostaglandin E1 (PGE1)とprednisolone (PSL)の影響をSprague-Dawley系ラットのin vivo実験により検討した. PGE1は0.02から2.0mg/kgの投与量で好中球腹腔内集積を阻止し, opsonized zymosan刺激によるO-i産生を0.20と2.Omg/kgの量で抑制し,いずれも濃度依存性であった. PSLは4mg/kgの量で好中球腹腔内集積とO-i産生を抑制したが,それ以下の量では抑制しなかった. PGE1とPSLの併用により,好中球腹腔内集積とO-i産生はいずれも各々単独よりも有意に強く抑制された.
    PSLは抗炎症作用と免疫抑制作用をもつことで知られているが, PGE1の併用により好中球機能抑制は増強され,臨床応用に際し,より強い抗炎症と免疫抑制作用が示されることが期待された.
  • 溝口 靖紘, 宮島 慶治, 阪上 吉秀, 小林 絢三, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1987 年 10 巻 2 号 p. 161-170
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    結核死菌感作モルモットのリンパ節細胞を精製ツベルクリン(purified protein derivatives, PPD)で刺激すると,催胆汁うっ滞因子(cholestatic factor)が産生される.このリンホカインをSephadex G-75カラムによるゲル濾過およびDEAE-celluloseカラムを用いるクロマトグラフィーで分画すると, 2つの活性分画が得られ,これらの活性分画をラットの腸間膜静脈に注入すると,著明な胆汁排泄の抑制が認められた.この催胆汁うっ滞因子による胆汁排泄機構を研究する一環として,二量体immunoglobulin A (IgA)の胆汁への排泄に催胆汁うっ滞因子がどのような影響を与えるかについて検討した.その結果,催胆汁うっ滞因子はIgAの胆汁への分泌を有意に抑制することが認められた.従って,催胆汁うっ滞因子は肝臓のvesicular transport systemにも影響を及ぼすと推測された.
  • 早川 浩, 小林 登, 矢田 純一
    1987 年 10 巻 2 号 p. 171-179
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    原生省特定疾患調査研究班「免疫不全症候群」による原発性免疫不全症候群症例全国調査登録にCommon Variable Immnuodeficiencyとして登録された小児例のうち,明らかに他疾患と思われるものを除いた男性53例女性27例計80例について調査資料に基づいて検討した.
    12.3%に家族に本症を疑われる症例があった,診断年齢は平均65.0ヵ月で,初発症状の多くは感染症であった.易感染性を記載したものは92.5%に及んだ.感染症では呼吸器系感染が最も多く,次いで皮膚・胃腸系等の感染が多かった.合併症では,自己免疫疾患5例,悪性リンパ腫1例等が注目された.登録時75.0%は生存しており, 19例が死亡していた.
    48例で主な検査所見がよせられたが, 87.5%に低IgG血症が示された.
    この報告はわが国で本症として登録された小児の多数例の総括としては現在唯一のものである.
  • 加藤 芳郎, 尾多賀 雅哉, 三原 英嗣, 本道 潤子, 天野 佳香, 加藤 良一, 小栗 隆, 菅原 譲
    1987 年 10 巻 2 号 p. 180-185
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    非特異的腫瘍免疫としてNK細胞活性が測定されているが,標的細胞を螢光色素であるFITC (FLUORESCEINISOTHIOCYANATE)で染色し,これがKillingを受けると螢光を失う事を利用した細胞障害試験法を老案した. 51Cr遊離法と比較検討したところ,強い正の相関関係が認められ, NK活性測定法として有用であると考えられた.
  • 佐藤 真紀子, 浜本 龍生, 柴田 恒洋, 加藤 真知子, 芦原 睦, 高橋 正光, 石谷 城宏, 夏目 いつ子, 安部 陽一, 吉田 俊治 ...
    1987 年 10 巻 2 号 p. 186-193
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Systemic Lupus Erythematosus (SLE) is one of the chronic autoimmune diseases with various inflammatory manifestations involving multiple organ systems, accompanied by multiple immunological abnormalities. The Preliminary Criteria for the Classification of SLE by American Rheumatism Association (ARA) had been widely used for the diagnosis of patients with SLE since 1971.
    The criteria was newly revised by ARA in 1982. The sensitivity and the specificity of the 1982 Revised Criteria was evaluated in our patients with connective tissue diseases. The sensitivity for SLE (78 cases) was 94.9%, and the specificities against PSS (17 cases), PM (10 cases) or RA (19 cases) were all 100%.
    The sensitivity for the diagnosis at initial visits in patients with SLE was also 78.2% and the 1982 Criteria was considered to be quite useful for early diagnosis of SLE.
    The results indicated that the 1982 Criteria could be more useful in diagnosis of SLE than the 1971 Criteria.
  • 井上 文彦, 古川 裕夫, 内野 治人
    1987 年 10 巻 2 号 p. 194-200
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎大腸粘膜におけるレクチンの結合性の分布を,標識レクチンを用いて,螢光抗体法により検討した.
    患者大腸粘膜の内視鏡的正常部では, Dolichos biflorus agglutinin (DBA), soybean agglutinin (SBA)ともに,正常対照群と同様に,杯細胞粘液に陽性で,減少傾向はみられなかった.内視鏡的境界部,病変部では,両者の分布はともに減少し,特に,病変部粘膜で著明であった. concanavalin A (Con A)は,問質の細胞に陽性であったが,一定の傾向は示さなかった.
    潰瘍性大腸炎大腸粘膜では, DBA, SBAの結合性が変化し,それは,杯細胞粘液の量的and/or質的(糖鎖構造)な変化が重要であると考えられ,今後の検討が必要である.また,レクチンは,本症大腸粘膜での生化学的変化を検索するうえで,有用な手段であることが示唆された.
  • 藤川 正直, 栄枝 弘司, 岩村 伸一, 松浦 靖, 井戸 英司, 松永 洋一, 前田 隆, 西原 利治, 大西 三朗, 伊藤 憲一
    1987 年 10 巻 2 号 p. 201-206
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    我々は肝細胞癌患者(HCC)に対しlymphokine activated killer (LAK)細胞を用いた養子免疫療法を施行する上で2つの障害点,すなわち, 1) HCCではLAK活性の誘導が困難である, 2)血清中にLAK誘導阻害因子が存在することを指摘してきた.そこで今回HCC 14症例に対して連続5~27日間recombinant interleukin 2 (rIL-2) 15μg/dayを静脈内に投与し,担癌生体に及ぼす免疫学的影響を観察し,予備的に治療効果につき検討を加えた.その結果rIL-2投与前LAK活性が異常低値を示した12例中9例でLAK活性はrIL-2投与後著明に増強され, LAK細胞を用いた養子免疫療法の施行が可能と考えられた.また臨床的にも血中α-fetoprotein (AFP)値が異常高値を示した13例中5例でAFP値が25%以上低下する成績が得られた.従ってHCCに対するrIL-2の静脈内連続投与は, HCCにおけるLAK細胞の誘導が困難であるとの障害点を克服する手段として有用と考えられた.
  • 種市 幸二, 芝木 秀俊
    1987 年 10 巻 2 号 p. 207-214
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    著者らの経験した無菌性脳脊髄膜炎(AME)を合併したシェーグレン症候群(SjS)の5症例の臨床像の検討を行った.
    自験例は男性1例女性4例で,年齢は19歳~56歳(平均38.8歳)であった.成人スチル病の合併が1例のみ認められたが,その他はSjS単独であった.臨床所見としてはレイノー現象および関節炎を呈したものが5例中3例,尿細管性アシドーシスの合併は5例中2例に認めた. HLA抗原に共通するものはなかった. 5例中4例はsubclinical SjSであった.髄液所見は,細胞数は中程度の増加でリンパ球優位,タンパクは8回中5回増加,糖は5回中4回に低下が認められた. AMEは4例中2例が再発性であった.
    AMEがSjSの多臓器病変の1つとして位置づけられるかどうかを論じ, AMEを合併したSjSの症例の蓄積とその長期にわたる観察がAMEとSjSの関連を明らかにすることを強調した.
  • 伊東 俊夫, 山口 彰則, 中村 晃, 児玉 一司, 岸原 道三, 稲留 哲也, 猪尾 力, 内橋 起代美, 村田 信子, 大前 義文, 清 ...
    1987 年 10 巻 2 号 p. 215-222
    発行日: 1987/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    45歳女性.昭和59年5月中旬より発熱,全身紅斑と全身リンパ節腫大が出現.その際LDHは929IU/lで各分画明瞭で,免疫混合法にてanomalyを認めなかった.末梢血白血球数は20,900/μl,その内好酸球18%.プレドニゾロン(PSL) 30mg/日投与にて軽快退院した.翌年2月再び発熱と全身紅斑出現.末梢血白血球数は31,800/μl,その内成熟型好酸球42%.胸骨骨髄像で成熟型好酸球9.2%.便虫卵は認めず. LDHは高度に増加し,アイソザイムは各分画が不明瞭で,免疫混合法にてLDH-IgG, A, M (κ, λ)を認めた(分子量52万).軽度の心陰影拡大と心のう液貯留があり,皮膚生検でAcanthosisと血管周囲の好酸球浸潤があったが,血管炎認めず. hypereosinophilic syndromeとして3月よりPSL 40mg/日投与したところ,徐々に解熱し,全身紅斑,心のう液は消失,末梢血好酸球も消失した.第2回入院時昭和60年3月中旬LDHは1,182IU/l,アイソザイムは各分画が不明瞭で, 1-5型のanomalyで,免疫混合法にてLDH-IgG, A, M (κ, λ)を認めた. 3月中旬よりPSL投与を開始したところ, LDHは10月頃正常化した. 3月末anomalyパターンは3-5型で, LDH-IgG, A (κ, λ)を認めた. 4月中旬anomalyパターンは3-5型で, LDH-IgG (κ, λ)を認めた. 5月末anomaly消失し,免疫混合法でも認めなかったが,冷蔵2週間後の同血清で3-5型のanomalyが出現し,免疫混合法でLDH-IgG (κ, λ)を検出した.昭和61年5月末LDHは231IU/lでアイソザイムの各分画は明瞭で,免疫混合法でもanomaly認めず,冷蔵2週間後の同血清でも検出できなかった.本症例はLDH-Igの成立機序を考える上で3つの点で興味がもたれる. 1)第1回入院時LDHが高値であったが, anomalyは認めず,再入院時にLDHが増加した際にanomalyが出現した. 2)加療にてLDH-IgM, IgA, IgGの順に消失した. 3)経過中採血時の血清中にanomalyを認めず,冷蔵2週間後の同血清にanomalyを認めた.
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