日本臨床免疫学会会誌
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末梢血樹状細胞機能異常からみた全身性エリテマトーデスにおける自己リンパ球混合培養反応の低下について
鈴木 輝彦今井 史彦石橋 俊子片桐 敏郎原 清
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1988 年 11 巻 4 号 p. 329-336

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抄録

全身性エリテマトーデス(以下SLE)患者末梢血より樹状細胞(以下D cell)を取り出し,その形態ならびに機能について検討した.形態学的には,多数の樹状突起を有し, HLA-DR抗原ならびにC3biレセプターを有していた.一方,表面免疫グロブリン, T3抗原ならびにFcレセプターは陰性であった. D cellを自己のT cellと混合培養したauto MLRは, SLE患者では有意に低値を示した(P<0.01). SLE患者マクロファージおよびB cellは, auto MLRのstimulator能を有していなかった.非自己のT cellと混合培養したallo MLRでは, SLE患者D cellは正常人T cellをも増殖させえなかった.これと逆に,正常人D cellは別の正常人T cellを強く増殖させ, SLE患者T cellを弱く増殖させた.すなわち, SLE患者におけるauto MLRの低下は, responderであるT cellの異常のみに起因するのではなく, auto MLRのstimulatorであるD cellにもその一因があるものと思われた.

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