腫瘍細胞の抗原性を温存する際に問題となる抗原添加培養リンパ球の抗腫瘍活性の変化について検討した.腫瘍抗原は(1) Mitomycin C (以下MMCと略す), (2) 3M KCl, (3)超音波, (4)凍結乾燥によって腫瘍細胞を処理して用いた. Donryu ratの培養リンパ球では, 3M KCl処理抗原以外の3種の処理抗原の添加で抗腫瘍活性が上昇し,特に凍結乾燥処理抗原の添加で最も高値となった.そこで,この方法をヒトリンパ球と自己癌細胞に対して試み,凍結乾燥自己腫瘍細胞を添加培養した末梢血リンパ球は同じ癌細胞に対して高い抗腫瘍活性を示すことがわかった.さらに, BALB/cマウスとMeth A, MOPC 104Eを用いてcross reactive testを行った結果,添加抗原に特異的な抗腫瘍活性をもつリンパ球が誘導された.以上より,凍結乾燥腫瘍細胞は,添加抗原として培養リンパ球に特異的な抗腫瘍活性の誘導が可能であることが示された.