日本臨床免疫学会会誌
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Lymphokine-activated killer (LAK)活性誘導に及ぼす単球の影響-肝細胞癌および肝硬変症例における検討-
杉山 和子樋口 清博井上 恭一佐々木 博
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1988 年 11 巻 6 号 p. 581-592

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抄録

担癌生体において低下しているlymphokine-activated killer (LAK)活性を高めることを目的に,肝細胞癌症例におけるLAK誘導低下機序に関しての基礎的検討を行った.
肝細胞癌症例の非付着性単核球からのLAK活性の誘導において,低濃度interleukin 2 (IL 2)の存在下では正常対照に比し活性は低下していたが,高濃度IL 2により十分な活性が誘導された.また肝細胞癌症例においては付着性細胞によりLAK誘導が阻害され,その抑制はインドメサシン添加により回復した.さらにその培養上清中には高濃度prostaglandin (PG) E2が認められ,この濃度のPGE2を外因性に培養初期に正常例のLAK誘導系に添加すると, NK細胞からのLAK誘導が抑制された.
以上より肝細胞癌症例においては,付着性細胞の産生するPGE2が,主にNK細胞からのLAK誘導を早期過程において抑制していることが示唆された.

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