自験大腸癌患者144例および対照健常人60例の末梢血単核球のnatural killer (NK)活性を測定し検討した.
大腸癌患者のうち,リンパ節転移や血行性転移のあるものは,対照群に比べてNK活性が有意に低かった.しかし,転移を認めない患者のNK活性は,対照群と差がなかった.
術前,術後のNK活性の推移をみると,術後3週までは一過性にNK活性が低下しているが,その他の時期では差がなかった.
治癒手術が行われても,リンパ節転移を認めた大腸癌患者では, NK活性は継続的に低値であった.
末梢血中のNK活性とTγ%とは有意な正の相関を示した.
モノクローナル抗体により分類した末梢血中の単核球のsubpopulation百分率とNK活性とを比較すると, OKM1+細胞とLeu7+細胞とは正の有意な相関を, OKT4+細胞とOKT3+細胞とは負の有意な相関を認めた.