日本臨床免疫学会会誌
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全身性エリテマトーデスの病態と年齢要因
山内 保生長沢 浩平豊島 元真弓 武仁石井 善智多田 芳史塚本 浩仁保 喜之
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1990 年 13 巻 1 号 p. 18-25

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抄録

当科の全身性エリテマトーデス(以下SLE)142例を診断時年齢により, 20歳未満の若年群27例, 20歳以上40歳未満の好発年齢群91例, 40歳以上の高齢群24例の3群に分け,臨床症状,予後,とくにこれまで報告の少ない合併症についてretrospectiveに検討した.従来の報告どおり,蝶形紅斑,口腔潰瘍,発熱,腎症,とくにネフローゼ症候群を呈する症例が若年群に多かった.しかし,今までの報告と異なり漿膜炎,とくに心膜炎の頻度が若年群に有意に多くみられた.検査成績でも,若年群は従来報告されているように,低補体の頻度,抗DNA抗体の陽性率が高く,治療でも大量のステロイド剤を必要とする傾向にあり,パルス療 法,免疫抑制剤の併用率も高かった.
合併症では大腿骨頭壊死が有意に若年群に多く,若年発症は危険因子の1つと考えられた.一方,帯状疱疹,血栓症は各群ともほぼ同じ頻度で合併しており,年齢との関係はみられなかった.
若年群は予後も不良であり,若年発症は予後不良因子と考えられた.一方,今回の検討では高齢群に大きな特徴はみられなかった.

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