日本臨床免疫学会会誌
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抗DNA抗体産生B細胞の細胞表面形質:とくにLy-1 B細胞との関係について
岡田 隆
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1990 年 13 巻 1 号 p. 26-37

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抄録

最近,自己抗体の多くがconventional B細胞とは異なるLy-1 (CD 5) B細胞系に由来していることが示唆されている.今回,われわれは全身性エリテマトーデス(SLE)を自然発症するNZB×NZW(B/W) F1マウスを用いて, IgMならびにIgGクラス抗DNA抗体産生B細胞の細胞表面形質をLy-1抗原と,われわれが発見した新しいB細胞分化抗原Lp-3について検討してみた.その結果,生後早期に出現するIgM抗体産生B細胞はLy-1+, Lp-3-, IgM+であるのに対し,生後6~7ヵ月ころより出現するIgG抗体産生B細胞はLy-1-, Lp-3+, IgG+であり,まったくその細胞表面形質が異なっていた.一方, 6ヵ月から7ヵ月齢にかけてlgG+Lp-3+B細胞は増加したが,逆にLy-1 B細胞は著明に減少することが明らかになった.腹腔中のB細胞は加齢に関係なく大多数がLy-1+, Lp-3+, IgM+であり,しかもほとんど抗DNA抗体を産生しなかった.以上の成績をもとに, IgMならびにIgGクラス抗DNA抗体産生の由来および両者の関係について考察を行った.

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