日本臨床免疫学会会誌
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B型肝炎ウイルスキャリアにおけるHBs抗原のサブタイプ特異的抗原の臨床的意義
池田 弘松浦 一陽岩崎 良章能祖 一裕高口 浩一澤原 正彦高橋 健二山吹 隆寛辻 孝夫
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1990 年 13 巻 1 号 p. 65-71

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抄録

ELISA法によりHBs抗原サブタイプ特異的抗原を定量測定し,その臨床的意義を検討した.サブタイプの頻度は,無症候性キャリア(ASC)〔平均年齢18歳〕で, 91例中adr 74.7%, adw 19.8%, ayw 2.2%, adwr 3.3%で, B型慢性肝炎(CH)〔33歳〕では, 91例中adr 96.7%, adw 1.1%, adyr 1.1%, adwr 1.1%と, CHでadwの頻度が低かった. ASCでのHBe抗体陽性の頻度は, adr群52.9%に比べ, adwでは77.8%と高かった. adrのCHの5.7%において急性増悪時S-GPTのピーク前, DNA-P, HBV-pAR活性, HBs抗原量の変化に一致してサブタイプがadrからadwrへ変化したが, ASCでも3.3%にadwrが認められた,サブタイプadwは, adrに比べ若年のうちにHBe抗体陽性になりやすく予後がよいこと, compoundサブタイプadwrは低頻度で,急性増悪時HBVの量の変化に伴って出現するが,必ずしもS-GPT値異常と密接に関係しているわけではないことが示唆された.

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