日本臨床免疫学会会誌
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膠原病患者の寒冷負荷による血液凝固線溶因子の変動
松田 重三斎藤 紀子川杉 和夫合地 研吾風間 睦美木下 忠俊
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1990 年 13 巻 6 号 p. 586-592

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抄録
SLE (17例), PSS (11例), RA (7例)などの膠原病患者計35例を対象に,全身を4°Cの冷蔵室内で10分間寒冷負荷して,その前後で第VIII因子関連抗原(F VIII R: Ag),組織プラスミノゲンアクチベータ(tPA),トロンボモジュリン(TM), βトロンボグロブリン(β-TG),血小板第4因子(PF4),フィブリノペプタイドA (FPA)などの,血液凝固線溶系因子を測定し,とくにレイノー現象陽性者と陰性者の寒冷に対する反応の差異を検討した.
その結果,膠原病患者では,レイノー現象の有無にかかわらず,寒冷負荷前すでにF VIII R: Agは有意に高く(p<0.Ol),これはPSS, SLEで特に著明であった.またTM, β-TG, PF4の平均値は正常範囲内であったが,正常人に比し高値を示した(p<0.01).寒冷負荷後は,レイノー現象陽性者は陰性者に比べF VIII R: Agが有意に増加し(p<0.05),これはSLEにおいて顕著であった.
以上より,膠原病患者,とりわけレイノー現象陽性者においては, F VIII R: Agなど血栓形成性因子が高く,血栓準備状態にあるともいえ,原疾患の治療のみならず,抗血栓療法も考慮すべきと考える.
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