日本臨床免疫学会会誌
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In vitroにおけるLymphokine activated killer (LAK)細胞の殺細胞効果に及ぼす抗癌剤の影響
日野 光紀小林 国彦林原 賢治仁井谷 久暢
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1990 年 13 巻 6 号 p. 593-602

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抄録
LAK細胞の殺細胞効果に及ぼす抗癌剤の影響にっき, Hman tumor cell clonogenic assayを用いて検討した. K562細胞を抗癌剤に暴露した後,播種した場合のコロニー抑制率に比べて,抗癌剤暴露後,ただちにLAK細胞と接触させ播種した場合のコロニー抑制率は有意に増強されていた.その抗癌剤とLAK細胞の併用による殺細胞効果は相加効果に一致していた.また, LAK細胞の標的細胞に対する殺細胞効果は抗癌剤が同時に存在していても影響を受けることはなかった.さらにシスプラチン,マイトマイシンを暴露することによって作製された抗癌剤抵抗性K562細胞に対するLAK細胞のコロニー抑制効果は,親細胞であるK562細胞に対するコロニー抑制効果より有意に増強する効果が得られた.その殺細胞効果の増強について, LAK細胞の標的細胞に対する認識.結合の点からK562細胞とCDDP抵抗性K562細胞の違いをdirect conjugate forming assayおよびcold target inhibition assayによって検討した.その結果, CDDP抵抗性細胞に対するLAK細胞の認識・結合は低下していた.さらにnon-ionic detargentであるNP-40を用いて2つの細胞の膜の脆弱性につき検討を加えた.それよりCDDP抵抗性細胞の抵抗性化に伴う細胞膜の脆弱化が示唆され, LAK細胞による殺細胞効果の増強の一因と考えられた.
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