日本臨床免疫学会会誌
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13 巻, 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 広義内分泌学への視点
    青木 矩彦, 大野 恭裕
    1990 年 13 巻 6 号 p. 523-536
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 橋本 亙, 佐藤 和人, 橋本 純子, 池田 和正, 立石 睦人, 柏崎 禎夫, 宮坂 信之
    1990 年 13 巻 6 号 p. 537-543
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    シェーグレン症候群患者18例の口唇小唾液腺について免疫組織学的検討を加えた.浸潤リンパ球はリンパ球浸潤の弱い症例ではT細胞優位であったが,浸潤が強くなるにしたがいT細胞集籏とB細胞集籏の両方を認めた. T細胞中では,浸潤の強さにかかわらずCD4陽性のT細胞がCD8陽性のT細胞に比して優位であった. CD4陽性T細胞とB細胞の各集籏域は隣接するか,あるいは混在して認められた.リンパ球浸潤の強い症例では,同一のB細胞集籏内において, CD21陽性B細胞とCD23陽性B細胞がともに認められ,一部の症例ではさらに活性化B細胞マーカーであるB5抗原も陽性であった.一方で,間質にはCD14陽性HLA-DR抗原陽性の細胞が散在性に認められた.これらの結果から,シェーグレン症候群では, HLA-DR抗原を発現した上皮細胞やマクロファージと浸潤T細胞との間の免疫応答の亢進とそれに引き続くB細胞の活性化が唾液腺病変形成に深く関与しているものと推測された.
  • 吉川 敏一, 上田 茂信, 安田 光徳, 市川 寛, 高橋 周史, 田崎 直宏, 高野 裕久, 安藤 貴志, 内藤 裕二, 小山田 裕一, ...
    1990 年 13 巻 6 号 p. 544-551
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    活性酸素は成人呼吸窮迫症候群などの肺胞障害の成因と関連があると考えられ,好中球からの活性酸素がARDSで亢進することが知られている.マクロファージは免疫効果を有する物質,化学因子や活性酸素などを放出して,肺の防御に重要な役割を有している.エンドトキシンの刺激により肺胞マクロファージはこれらを放出するが,肺の組織障害の一因であるとも考えられる.今回われわれは肺胞マクロファージ由来のスーパーオキシドDMPOを用いたESR-スピントラップ法およびMCLAを用いた化学発光法で検出し,さらにエンドトキシンの肺胞マクロファージのスーパーオキシド産生への影響について検討した.
    肺胞マクロファージ由来のスーパーオキシドは,刺激剤にPMAを使い, DMPOを用いたESR-スピントラップ法およびMCLAを用いた化学発光法で検出が可能であった.エンドトキシンの影響は動物にエンドトキシンを投与した場合でも,直接エンドトキシンを細胞浮遊液に添加した場合も, PMA刺激により対照群と比較しスーパーオキシドの産生が亢進した.肺胞マクロファージからの〓産生は,エンドトキシンの有無にかかわらずPMA非添加時には認められなかった.また,エンドトキシンの投与により肺胞洗浄液中の総蛋白,アルブミンおよびアンギオテンシンI変換酵素の漏出の有意な増加を認めた.以上より,肺胞マクロファージの〓産生能に対するエンドトキシンの効果は,肺胞マクロファージが何らかの刺激を受けた場合に,その産生能をより強く亢進させる効果であり,エンドトキシンによる肺障害と肺胞マクロファージ由来の〓と何らかの関係があるものと考えられた.
  • 加藤 正人
    1990 年 13 巻 6 号 p. 552-564
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    各種マイトージェンによりヒト末梢血単核細胞を刺激して得た幼若化細胞のサイトカイン反応性を検討した. T細胞マイトージェンのPHAとCon Aにより刺激された幼若化細胞はrIL-2に著明な反応を示したが, rIL-3とrIL-4に対して反応しなかった. T・B細胞マイトージェンのPWMおよびSAC-1により得た幼若化細胞はrIL-2に加えてrIL-3とrIL-4にも著明に反応し,特にPWM blast細胞がrlL-3とrlL-4に強く反応した.この細胞はrIL-1, IFNγ, GM-CSF, G-CSF, M-CSF, rIL-5, rIL-6に対しては反応せず, PWMb lastが反応するサイトカインはIL-2, IL-3, IL-4およびTNFとlymphotoxinであった. IL-3に対するPWM blastの反応はIL-3抗体で特異的に抑制された. CTLL-2細胞はヒトIL-3とIL-4に全く反応せず, IL-2とIL-3/IL-4の鑑別が可能と思われた. IL-3反応性には, CD 2+CD 4-CD 8-の細胞群が関与する可能性が示唆された.
  • 梅咲 直彦, 川端 政実, 須川 佶
    1990 年 13 巻 6 号 p. 565-572
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    妊娠の維持機構を明らかとすべく,妊婦の免疫系による胎児抗原の認識ならびに免疫応答を最もよく反映すると考えられる子宮近傍リンパ節(regional lymph nodes draining the uterus: DLN)の免疫動態について検討を行った.まず,各種のmononuclear cell (MNC)を識別するモノクローナル抗体およびFACS analyzerを用い,細胞の膜表面抗原を解析し,リンパ節での免疫動態の特徴について検討した.その結果,妊婦のDLNでは, HLA-DRおよびCD11b陽性細胞の増加が認められた.さらに,免疫組織学的観察を加えたところ, HLA-DR陽性細胞は, DLNのB cell領域とともに, T cell領域にも多く認められ, T cellは活性化されているものと考えられ, DLNでの細胞免疫能が亢進しているものと推察された.そこで, DLNよりMNCを分離し, mitogenに対する反応性を測定したところ,末梢血MNCとの間には差は認められなかった.しかし, controlとして用いた子宮筋腫患者のDLNより分離したMNCの反応性より上昇していた.さらに瞬帯血のMNCをstimulatorとしmixed lymphocyte reaction系で検討してみたところ,末梢血と比較して反応性の充進が認められた.これらの結果は,母体の免疫系が胎児に反応していると理解された.次にこの反応が胎児を許容すべく作用するか,それとも傷害的に作用するかsuppressor活性およびcytolytic activityについて検討してみた.その結果, suppressor活性は認められなかったが, cytolytic activityが認められた.このことは, DLNのMNCが胎児に対して傷害的に作用している可能性を推察させた.
  • 高野 健一郎, 大久保 総一郎, 堺 薫, 五味 崇行, 小野 塚豊
    1990 年 13 巻 6 号 p. 573-578
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    抗生物質の投与中に,下痢を呈した症例の糞便中の腸内細菌叢および分泌型IgA濃度を検討した.糞便中にCl. difficileおよびその毒素が検出された症例では,糞便中総細菌数と分泌型IgAの低下,腸内細菌叢の破壊を認めた.かかる症例の腸内細菌叢パターンは, Bifidobacterium, Bacteroides, Eubacteriumなどの嫌気性菌の減少, Yeastの増加が認められた.また,そのうち一部の症例ではStreptococcus, Lactobacillusの増加例も認められた.なお糞便中にCl. perfringensやCl. butyricumを検出した症例では, Cl. difficileは検出されず, Cl. difficileを検出した症例のうちCl. butyrium製剤を経口投与されていた例では, Cl. difficile数がCl. butyricum製剤非投与例よりも少なく,毒素の産生も少ない傾向を認めた.
  • 宮川 秀人, 石岡 伸一, 保澤 総一郎, 前田 裕行, 松阪 茂, 大崎 幹雄, 横崎 恭之, 高石 雅敏, 山木戸 道郎
    1990 年 13 巻 6 号 p. 579-585
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    LAK療法の成功は,活性の高いLAK細胞を大量に得ることにかかっている.著者らは, rIL-2に反応する細胞の3H-thymidineの取り込みが,真のLAK細胞数を意味すると考え,活性の高いLAK細胞を大量に得る条件を, LAK活性が高く,かつ3H-thymidineの取り込みが最も良い条件とし,検討を加えた.またN-CWS, rlL-2併用培養によるLAK活性増強効果についても検討した.
    活性の高いLAK細胞を大量に得るための培養条件は,リンパ球数2.5×106/ml,培養日数5日間, rIL-2濃度2U/ml,培養添加血清:ヒトAB型血清であった. N-CWS単独培養では, LAK細胞は誘導されなかったが, N-CWS, rIL-2併用培養により,著明なLAK細胞の活性増強効果を認めた.培養開始時rIL-2添加, 2日目N-CWS添加培養でも増強効果を認めたが,培養開始時N-CWS添加, 2日目rIL-2添加培養では, LAK細胞は誘導されなかった.
  • 松田 重三, 斎藤 紀子, 川杉 和夫, 合地 研吾, 風間 睦美, 木下 忠俊
    1990 年 13 巻 6 号 p. 586-592
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SLE (17例), PSS (11例), RA (7例)などの膠原病患者計35例を対象に,全身を4°Cの冷蔵室内で10分間寒冷負荷して,その前後で第VIII因子関連抗原(F VIII R: Ag),組織プラスミノゲンアクチベータ(tPA),トロンボモジュリン(TM), βトロンボグロブリン(β-TG),血小板第4因子(PF4),フィブリノペプタイドA (FPA)などの,血液凝固線溶系因子を測定し,とくにレイノー現象陽性者と陰性者の寒冷に対する反応の差異を検討した.
    その結果,膠原病患者では,レイノー現象の有無にかかわらず,寒冷負荷前すでにF VIII R: Agは有意に高く(p<0.Ol),これはPSS, SLEで特に著明であった.またTM, β-TG, PF4の平均値は正常範囲内であったが,正常人に比し高値を示した(p<0.01).寒冷負荷後は,レイノー現象陽性者は陰性者に比べF VIII R: Agが有意に増加し(p<0.05),これはSLEにおいて顕著であった.
    以上より,膠原病患者,とりわけレイノー現象陽性者においては, F VIII R: Agなど血栓形成性因子が高く,血栓準備状態にあるともいえ,原疾患の治療のみならず,抗血栓療法も考慮すべきと考える.
  • 日野 光紀, 小林 国彦, 林原 賢治, 仁井谷 久暢
    1990 年 13 巻 6 号 p. 593-602
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    LAK細胞の殺細胞効果に及ぼす抗癌剤の影響にっき, Hman tumor cell clonogenic assayを用いて検討した. K562細胞を抗癌剤に暴露した後,播種した場合のコロニー抑制率に比べて,抗癌剤暴露後,ただちにLAK細胞と接触させ播種した場合のコロニー抑制率は有意に増強されていた.その抗癌剤とLAK細胞の併用による殺細胞効果は相加効果に一致していた.また, LAK細胞の標的細胞に対する殺細胞効果は抗癌剤が同時に存在していても影響を受けることはなかった.さらにシスプラチン,マイトマイシンを暴露することによって作製された抗癌剤抵抗性K562細胞に対するLAK細胞のコロニー抑制効果は,親細胞であるK562細胞に対するコロニー抑制効果より有意に増強する効果が得られた.その殺細胞効果の増強について, LAK細胞の標的細胞に対する認識.結合の点からK562細胞とCDDP抵抗性K562細胞の違いをdirect conjugate forming assayおよびcold target inhibition assayによって検討した.その結果, CDDP抵抗性細胞に対するLAK細胞の認識・結合は低下していた.さらにnon-ionic detargentであるNP-40を用いて2つの細胞の膜の脆弱性につき検討を加えた.それよりCDDP抵抗性細胞の抵抗性化に伴う細胞膜の脆弱化が示唆され, LAK細胞による殺細胞効果の増強の一因と考えられた.
  • 杉江 元彦, 森瀬 公友, 渡辺 正, 東 秀好, 秋山 清次, 高木 弘
    1990 年 13 巻 6 号 p. 603-611
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒト胃癌細胞培養株NUGC4を免疫原として作製したモノクローナル抗体GC401の認識する抗原分子は, Nglycoside型の糖鎖をもつ糖蛋白で,分子量は30Kであった.血清学的特異性では, GC401は胃から大腸におよぶ腺管上皮および腺管上皮由来の癌と反応したが食道,肝・膵細胞などとは反応しなかった.血清学的,生化学的分析より, GC401抗原は消化管における新しい分化抗原と考えられた.今回,胃の分化過程を検討するために,既報のGC302抗原との比較を行ったところ, GC302抗原は正常胃腺にはなく,胎児胃,癌および腸上皮化生に発現されたのに対し, GC401抗原は正常胃腺を含めすべての過程に発現された.腸上皮化生では, HID染色陰性で杯細胞の少ないほどGC302の反応性は強い傾向がみられたが, GC401ではすべて強く反応した.以上より, GC401抗原は強い染色性およびその分布より,胎生期からその発現が変化せず広く分布する分化抗原と考えられた.
  • 市川 幸延, 清水 宏明, 高屋 正敏, 内山 光昭, 守内 順子, 有森 茂
    1990 年 13 巻 6 号 p. 612-621
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Sulphasalazine (SASP)による慢性関節リウマチの長期的治療成績をauranofin (AF)と比較検討した.短期的(3~6カ月)にはSASP群41例中8例が副作用のため脱落し,残る33例では79%が有効, 21%が無効と判定された. AF群39例では6例が副作用のため脱落し,残る33例のうち58%が有効, 42%が無効であったが両群間の有効率には差を認めなかった.しかし, SASPはAFと比べて疾患活動性,リウマトイド因子などを早期に改善した.さらに,両薬剤の治療継続率をKaplan-Meier法で検討した. AF群よりSASP群では治療開始9~18カ月の区間で有意に継続率は高値であったが,その後は両群とも約20%の継続率を示した. AFでは数カ月以後に蛋白尿の出現する症例を認めたのに対し, SASPの副作用は軽症のものが多く,しかも早期に出現した.これらの成績はSASPを遅効性抗リウマチ剤の第1選択薬として用いうる可能性を支持している.
  • 笠松 美宏, 竹村 周平, 楢原 梨佐, 柳田 国雄, 福田 亙, 岡本 雅之, 小野寺 秀記, 上田 正博, 出口 雅子, 杉野 成, 近 ...
    1990 年 13 巻 6 号 p. 622-629
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性.呼吸困難,乾性咳,発熱にて入院した.現病歴,胸部X線写真, CTなどより特発性間質性肺炎と診断した.抗生物質,ステロイドの投与にていったん症状の改善を認めたが,入院中再び呼吸困難が増悪し,ステロイドの増量にもかかわらず呼吸不全にて死亡した.剖検では肺炎所見を認めず,死因は急速に進行した肺線維化による呼吸不全と右心不全によるものと考えられた.経過中,補体分解産物iC3, Bb, c4dおよびC3a, C5aを経時的に測定できた.剖検所見と補体の動きからその病態に補体の活性化がかかわっていたことが示唆された.
  • 勝俣 一晃, 佐川 昭, 中林 透, 渡部 一郎, 天崎 吉晴, 向井 正也, 安田 泉, 大西 勝憲, 藤咲 淳, 中川 昌一
    1990 年 13 巻 6 号 p. 630-638
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は22歳,女性. 17歳より手掌,下腿に痒疹が出現し,その後全身に広がり,四肢の浮腫も出現してきたため当科に入院した.入院時,左耳下腺腫脹および全身性リンパ節腫脹を認めた.検査所見では,白血球数15,000/mm3,好酸球51%, LDH 1,309IU/lなどを認め,これら異常値と臨床症状は20~40日の周期で消長を繰り返した.また高IgE血症および軽度の肝脾腫を認めた.骨髄,リンパ節,耳下腺,皮膚,肝生検にてmastcellの増加を認め, systemic mast cell disease(以下SMCD)と診断した.本症例ではさらに末梢血リンパ球サブセットにてCD3 (-)CD4 (+)の細胞を全リンパ球の約40%の比率で認め,三重染色などを用いた検討を加えたがSMCDとの関連については今後の検討課題である. SMCDは稀な疾患であるが,その約15%に好酸球増多を認め,原因不明の好酸球増多症の診断に際しては本症を含めて検討する必要があると思われる.
  • 佐藤 健比呂, 小澤 哲夫, 本間 智子, 菊池 正俊, 中野 正明, 高橋 知香子, 中園 清, 村澤 章, 荒川 正昭
    1990 年 13 巻 6 号 p. 639-646
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Fulminating sensorimotor neuropathyを呈し,両側下腿切断を余儀なくされた悪性関節リウマチ(MRA)の1例を報告する.症例は, 53歳の女性.昭和44年にRAが発症し,某院に長期間入院.副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)で治療されていたが, 63年2月1日,突然上肢の運動・知覚障害がみられたため, 2月3日,瀬波病院リウマチセンターに転院した.前腕と下肢の著しい運動・知覚神経障害とレイノー現象を認め,検査成績で,白血球・血小板増多,リウマトイド因子の高値,高度の炎症所見がみられたため, MRAと診断した,また,神経伝導速度は測定不能であった.数日のうちに手指壊疽と下肢の潰瘍が進行したため,免疫抑制薬,ステロイド,血漿交換などで治療したが,両側の下腿切断を余儀なくされた.なお,組織学的に血管炎が認められた.本例は,内臓病変が軽度で, Bywaters型のMRAと診断したが,急速な神経障害の出現と皮膚潰瘍の悪化がみられ,稀な1例と考え報告した.
  • 大嶋 勇成, 平尾 敬男
    1990 年 13 巻 6 号 p. 647-653
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Prednisoloneを使用し著明な解熱効果のみならず,さらに低体温をきたしWeber-Christian病の1例を報告する.症例は12歳の女性で弛張熱と有痛性の皮下結節のため当院に入院となった.抗生物質, aspirinによる治療に反応せず,皮膚生検で血管炎を伴った急性の脂肪織炎がみられた.臨床症状,組織像からWeber-Christian病と診断した.治療はprednisolone 40mg/dayで開始した. prednisolone投与開始15時間後から著明な解熱効果がみられ,体温は34.1°Cにまで下降した.体温は40時間, 34.2~36.0°Cの間を変動し,その後3日間ほどで徐々に回復した.他の臨床症状,検査結果はprednisolone治療で改善した.本症例は体温調節に対する副腎皮質ホルモンの効果を考えるうえで興味ある症例と思われる.
  • 大曾根 康夫, 中村 信, 山田 秀裕, 吉田 正, 池田 康夫, 秋月 正史, 東條 毅, 外山 圭助, 本間 光夫
    1990 年 13 巻 6 号 p. 654-660
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    経過中に特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura: ITP)を併発したcommon variable immunodeficiency disease (CVID)のきわめて稀な症例を記載する.症例, 29歳,女性.生来健康であったが,昭和56年8月,無菌性髄膜炎で本院入院.この際,低ガンマグロブリン血症が見いだされ, CVIDと診断し,ガンマグロブリン補充療法が開始された. 60年7月,全身に点状出血斑が出現し,血小板数10,000/mm3と減少していたため再入院した.骨髄巨核球数は正常であり, ITPと診断した.プレドニソロンに反応せず,ガンマグロブリン大量静注療法の効果も一過性であったためビンクリスチン緩徐静注療法を施行し著効を得た.本症例はITPにおけるビンクリスチン緩徐静注療法の有用性を確認するとともに免疫不全症の病態を明確にするうえで重要と考えられた.
  • 吉川 敏一, 高橋 周史, 高野 裕久, 内藤 裕二, 上田 茂信, 小山田 裕一, 谷川 徹, 杉野 成, 近藤 元治
    1990 年 13 巻 6 号 p. 661-664
    発行日: 1990/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    PSKの多形核白血球(PMN)スーパーオキシド産生能に及ぼす影響をウミホタルルシフェリン誘導体依存性化学発光法およびDMPOをトラップ剤としたelectron spin resonance法により検討した. in vitroではOZあるいはPMA刺激によるラット腹腔内PMNのスーパーオキシド産生能は, PSKの8日間経口投与により増強した.しかし, in vitroではPMNをPSKとインキュベートしても増強効果は認められなかった.むしろ, PSKは高濃度(0.1~1mg/ml)ではhypoxanthine-xanthine oxidase系由来のスーパーオキシドに対して消去活性を認めた.これらの結果より, PSKは何らかの間接的な機序を介してPMNの活性酸素産生能を亢進させ, PMNの殺腫瘍活性を増強させる可能性が示唆された.しかし,高濃度ではスーパーオキシドに対する直接的な消去活性という相反する作用を認めた.この作用に臨床的な意味があるのかどうかは今後の検討を要すると考えられた.
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