日本臨床免疫学会会誌
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抗CD 3抗体刺激LAK培養上清中の腫瘍抑制因子に関する検討
渡邊 英章鳴海 賢二榊原 宣Martin H. GoldrosenKenneth A. Foon
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1993 年 16 巻 3 号 p. 216-226

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抄録
抗CD 3抗体刺激LAK細胞培養上清の抗腫瘍効果について検討した.健常成人(n=14)の末梢血から単離した単核細胞を, IL-2 1,000 U/ml存在下で培養してLAK細胞を誘導した.培養初期48時間にOKT-3 10 ng/mlで刺激したLAK細胞をCD 3 (+) LAK,刺激しなかった通常のLAK細胞をCD 3 (-) LAKとした. MTTアッセイで検討するとCD 3 (+) LAK培養上清は濃度依存的に,ヒト大腸癌樹立細胞株HT 29, LS 174Tの増殖を抑制したが, CD 3 (-) LAK培養上清は抑制しなかった.
CD 3 (+) LAK培養上清中に存在するTNF-α, IFN-γを抗体で中和しても,腫瘍抑制効果は消失しなかった.また, CD3 (+) LAK培養上清中の腫瘍抑制因子の物理化学的性質は,分子量約67Kdで, pH3.5以下, pH9.5以上で失活し, 95°C, 10分間の加温で失活する蛋白質であることがわかった.
この腫瘍抑制因子は,われわれがすでに報告したCD 3 (+) LAK培養上清中のLAK活性抑制因子と同一であると考えられた.
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