日本臨床免疫学会会誌
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プレドニゾロン投与中にSalmonella enteritidisによる菌血症を発症したEvans症候群の1例
佐藤 忠嗣若林 芳久平澤 晃西川 哲男千葉 省三
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1994 年 17 巻 1 号 p. 60-65

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抄録
症例は17歳,男性.貧血, LDH高値のため9月4日当科へ紹介入院となった.末梢血液検査,生化学検査および骨髄穿刺所見よりEvans症候群と診断し,プレドニゾロン(PSL) 40mg/day投与を開始したところ,投与6日目に38°Cの発熱が認められ,血液よりgroup O9 Salmonellaが検出された.便培養は陰性で検出菌の血清型はVi (-), O-9, H-gでS. enteritidisと同定した. Amikacin sulfate (AMK), fosfomycin (FOM)投与で下熱したがPlt 4.3×104lと低下したため,メチルプレドニゾロンパルス療法を施行したところ再燃を認めaztreonam (AZT), cefoperazone sodium (CPZ)投与で治癒した.近年,健康保菌者の増加が指摘されており,基礎疾患やその治療により免疫能の低下が想定される症例では,非チフス性サルモネラ属菌による菌血症の発症を考慮しておく必要があると考えられた.
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