日本臨床免疫学会会誌
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Lectin-dependent LAK cell-mediated cytotoxicity(LDCC)を応用した悪性腫瘍の治療
基礎的検討
木本 安彦李 峯豪董 海東高井 新一郎田口 鐵男
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1994 年 17 巻 3 号 p. 188-198

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抄録
末梢血リンパ球は,種々のlectin存在下にLDCCを示すことができるが,リンパ球をIL-2で培養して得られるLAK細胞が,より強力なLDCC能を有することを示した.植物lectinを種々検討したところ, PWMがLAK細胞に対して最も強力かつ広い抗腫瘍効果を与えることがわかった. Effector細胞としては, PBL, CD 3+ CD 4+, CD 3+ CD 8+細胞いずれもがLDCC能を有し,加えてCD 3- D 56+細胞もLDCCを発揮した.このLDCCの機序を解明するために, PWMで初期刺激したLAK細胞を用い,抗HLA抗体の作用を検討したところ, HLAはLDCCには関与しないことが判明した,先の結果と合わせて, HLA, CD 3, CD 8, CD 56分子はLDCCには関与していないと考えられた.またPWMのLAK細胞への結合と,腫瘍細胞への結合は,量および結合様式が異なる結果が得られた.さらにLDCCには一部apoptosisの機序が関与していること, LAK細胞をeffector細胞とした場合にはNOは関与していないことが示された.ヒトがLDCCを利用しているという直接の証拠はないが,このLDCCを利用した新しい強力な免疫療法の可能性が示唆された.
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