抄録
利尿剤等の通常の薬物療法にて対処し得ない難治性癌性腹水患者91例に対して, 延べ356回の自家腹水濾過濃縮再静注法を施行し, その臨床的有用性を腹水穿刺単純排液法と比較検討した結果, 前者は後者よりはるかに有用であった.
自家腹水濾過濃縮再静注法の治療効果は, OK-432等の生物学的反応修飾物質 (BRM) を併用すると, さらに高められるように思われた. しかし, 自家腹水濾過濃縮再静注法に抗癌剤を併用しても, その治療的効果は上がらなかった. BRM併用群のうち, 特にOK-432についてその投与方法別 (皮下注射, 腹腔内注入) に併用効果を検討したが, 明らかな有意差はなかった.
自家腹水濾過濃縮再静注法とOK-432の併用における主な副作用は-過性発熱であるが, これは適切な解熱剤を投与することにより対処し得た.