日本臨床免疫学会会誌
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多彩な自己抗体が陽性でシクロフォスファミドが有効であった間質性肺炎合併全身性硬化症の1例
石山 香恵諏訪 昭太田 修二森口 正人鈴木 貴博宮地 清光原 まさ子柏崎 禎夫
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1996 年 19 巻 5 号 p. 512-518

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抄録
症例は41歳女性. 1989年関節痛が出現した.1991年9月咳漱,呼吸困難が出現した. 11月肢端硬化,指尖皮膚陥凹を認めた. 1992年1月,経気管支肺生検により間質性肺炎と診断された.ステロイド服用後症状は改善した. 1993年11月当センターにてにて全身性硬化症と診断された. 1994年1月,ステロイド減量時に,呼吸器症状が再燃した. 3月, cyclophosphamideの大量間欠静注療法を開始された. 2カ月後,咳漱,呼吸困難は著明に軽減し,肺機能検査所見も改善した.
全身性硬化症に合併した間質性肺炎に対するcyclophosphamide療法の有用性は米国において報告があるが,本邦での報告はこれまでなく本例が初例である.また本例は抗Wa抗体,抗RNAポリメラーゼI-III抗体,抗Ki抗体など稀な自己抗体が陽性であった点でも貴重な症例と考えられた.
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