日本臨床免疫学会会誌
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慢性関節リウマチの経過中に発症した好酸球性髄膜脳炎
樋口 雅則酒井 由美子小柳 三由紀津田 泰夫本村 正治
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1998 年 21 巻 5 号 p. 198-205

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抄録
症例は56歳男性. 11年前発症の慢性関節リウマチに対してPrednisolone 10mg/日の内服治療中であったが,約3日間の経過で徐々に意識レベルの低下をきたして入院した.髄液は黄色に混濁しており,好酸球が著増していた.末梢血の好酸球も遅れて増加し,不隠状態に進展した.寄生虫感染,中でも広東住血線虫感染も疑われたが,髄液中にも虫体を検出し得ず,免疫学的診断にても同定できなかった. MPO-ANCAが陽性であり,既知のMPO-ANCA関連疾患は否定的ではあったが,何らかの血管炎の関与が考えられたため, Methylprednisoloneパルス療法を含むステロイド治療を行ったところ,症状は回復し,髄液所見も次第に軽快した.自己免疫学的機序による血管炎が病因として強く示唆された.
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