日本臨床免疫学会会誌
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21 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 佐藤 伸一
    1998 年 21 巻 5 号 p. 181-190
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
  • 山本 樹生, 下司 有美, 久野 宗一郎, 加瀬 奈美子, 森 宏之
    1998 年 21 巻 5 号 p. 191-197
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    抗血管内皮細胞抗体の役割は血管炎で報告されてきた.抗血管内皮細胞抗体または血管を障害する一つの因子である.妊娠中毒症における抗血管内皮細胞抗体の役割を検索するために,抗血管内皮細胞抗体陽性例と臨床所見の関係,抗血管内皮細胞抗体陽性血清の培養血管内皮細胞に対する細胞障害性を検討した.
    (方法) 57例の妊娠中毒症,うち37例は重症型と46例の正常妊娠を対象とした.抗血管内皮細胞抗体は臍帯静脈血管内皮細胞を用いたELISA法によった.血清の培養血管内皮細胞に対する細胞障害性は51Cr releaseassayを用いて測定した.
    (結果)妊娠中毒症ではIgG型およびIgM型抗血管内皮細胞抗体は,それぞれ26.3%, 10.5%に陽性であった.抗血管内皮細胞抗体の出現率は,軽症型の20%に比し,重症型で29.7%と,重症型で高率に出現した.さらに症状の重症度でみると200mg/dl以上の重症型の蛋白尿で抗血管内皮細胞抗体の出現率が有意に高かった(p<0.04).重症型の高血圧や子宮内胎児発育遅延を有する症例では抗血管内皮細胞抗体の出現率が高値を示す傾向にあったが有意ではなかった.抗血管内皮細胞抗体陽性血清は陰性血清に比し有意に培養血管内皮細胞に対する細胞障害性が増加していた.
    (結論)妊娠中毒症において抗血管内皮細胞抗体の出現は蛋白尿の重症度に関連しており,さらに抗血管内皮細胞抗体は妊娠中毒症における血管内皮障害に関与している可能性がある.
  • 樋口 雅則, 酒井 由美子, 小柳 三由紀, 津田 泰夫, 本村 正治
    1998 年 21 巻 5 号 p. 198-205
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性. 11年前発症の慢性関節リウマチに対してPrednisolone 10mg/日の内服治療中であったが,約3日間の経過で徐々に意識レベルの低下をきたして入院した.髄液は黄色に混濁しており,好酸球が著増していた.末梢血の好酸球も遅れて増加し,不隠状態に進展した.寄生虫感染,中でも広東住血線虫感染も疑われたが,髄液中にも虫体を検出し得ず,免疫学的診断にても同定できなかった. MPO-ANCAが陽性であり,既知のMPO-ANCA関連疾患は否定的ではあったが,何らかの血管炎の関与が考えられたため, Methylprednisoloneパルス療法を含むステロイド治療を行ったところ,症状は回復し,髄液所見も次第に軽快した.自己免疫学的機序による血管炎が病因として強く示唆された.
  • 松森 昭憲, 西谷 皓次, 田原 潔, 田中 康司, 山崎 弘実, 橋本 浩三
    1998 年 21 巻 5 号 p. 206-212
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は23歳女性. HTLV-Iキャリアであり,幼少時より毛孔性紅色枇糠疹(pityriasis rubra pilaris, PRP)を認めて加療を受けていた. 1990年11月頃(16歳時)より発熱,関節痛を認めるようになり,抗核抗体と抗RNP抗体が陽性であったことから膠原病が疑われたが確診には至らず, unclassified connective tissue disease(UCTD)と不明熱の診断のもとに経過観察されていた. 1991年2月発熱は各種の抗生物質の投与に不応性であったが,ステロイド剤の投与(プレドニゾロン換算40mg/日)により改善を認めた. 1996年4月9日より再び,悪寒を伴う発熱が出現し,血液培養にてEnterococcus faecalisが検出され,敗血症と診断された.同年6月4日より発熱に加えて,痙攣発作,播種性血管内凝固症候群(DIC)を生じ,重篤な臨床経過を辿ったが,抗生剤の変更,ステロイド剤の増量,抗凝固剤の投与にて軽快した.本例はPRPとUCTDを合併した稀な一例と考えられた.
  • 浜本 康夫, 高橋 裕樹, 松永 隆弘, 村上 理絵子, 川人 由美子, 得能 徹也, 牧口 祐介, 今井 浩三
    1998 年 21 巻 5 号 p. 213-219
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は20歳,女性. 1995年12月上眼瞼の浮腫性紅斑が出現. 1996年1月より発熱・多関節痛も出現し当科入院となった.入院時筋力低下はなかったが,筋痛・関節痛に加え,特徴的な皮疹の存在,筋原性酵素の上昇,炎症所見から皮膚筋炎(DM)と診断した.胸部CT上ごく軽度の間質性変化を左肺に認め, 1月下旬からステロイド剤の投与を開始した.病状の改善を認め,肺病変も消退傾向にあったが, 3月の胸部CTにて縦隔気腫および連続する肺野の限局性気胸の出現を確認した.自覚症状は特にみられないことから,保存的に経過をみたところ, 4週間後には自然消失した. DMの間質性肺炎に合併する縦隔気腫は予後不良因子として知られ,その原因は重篤な肺病変に伴う二次的な変化とも考えられている.一方,本例では肺病変の重症度とは無関係に縦隔気腫が発生しており,縦隔気腫自体がDMに強く関連した肺病変のひとつと考えられた.
  • 光中 弘毅, 徳田 道昭, 高原 二郎, 的場 謙一郎, 宮脇 昌二
    1998 年 21 巻 5 号 p. 220-225
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は68歳女性. 1977年SLEと診断,ステロイド療法で軽快後PSL 5 mgで寛解を維持. 1995年労作時呼吸困難で来院,高度の貧血を認め,骨髄穿刺にて赤芽球癆と診断.その時LACが陽性,抗β2GP 1カルジオリピン抗体高値であった. m-PSLパルス療法で軽快,再発傾向なく経過良好であった.
    入院時検査所見にてHPV B 19に対するIgG型抗体の上昇およびPCR法でのウイルスDNAを認め,非活動期SLE患者における持続感染がPRCA発症の主因であると考えた.さらに,本例に認められたPRCAと抗リン脂質抗体症候群の病因的関連についても言及した.
  • 細川 歩, 高橋 裕樹, 赤池 淳, 奥田 博介, 村上 理絵子, 川人 由美子, 得能 徹也, 牧口 祐介, 坂本 裕史, 日野田 裕治, ...
    1998 年 21 巻 5 号 p. 226-233
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性. 1988年耳下腺腫脹・乾燥症状を自覚し,唾液腺造影・生検の結果からシェーグレン症候群(SS)と診断された. 1995年2月から全身倦怠感が出現し,同年4月当科入院となった.抗SS-A・SS-B抗体陽性,肝障害と低アルブミン血症,血小板減少がみられ,また腹部CT・MRIにて肝S6に辺縁に増強効果を有する径2cmの占拠性病変が認められた.肝生検組織上,肝S6の病変に形質細胞・リンパ球と組織球の浸潤を認め,肝炎症性偽腫瘍(IPT)と診断した.また非腫瘤部は抗ミトコンドリア抗体は陰性であるが,原発性胆汁性肝硬変に一致する組織像であった.無治療にて経過をみたところ,肝IPTの縮小を認めた. IPTはその発生に自己免疫反応の関与も示唆される炎症性腫瘍類似病変であるが, SSに合併した肝IPTの報告は本例が第一例目である.肝占拠性病変の鑑別において, IPTも念頭におくべき疾患のひとつと考えられた.
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