日本臨床免疫学会会誌
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CT上multiple low density spotsを呈した肝病変を合併し若年男性に認められた全身性エリテマトーデスの1例
三宅 康弘多田 慎也中村 之信児島 完治武田 則昭實成 文彦
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1999 年 22 巻 1 号 p. 23-29

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抄録
症例は19歳,男性.光線過敏症の既往歴と共に持続する微熱,多関節痛等が認められるため入院となった.検査所見では血清トランスアミナーゼの上昇,白血球減少,血小板減少が認められた.自己免疫疾患の検査では抗核抗体, LE試験等が陽性であった. multiple low density spotsについては, CTガイド下肝生検において該当する部位から軽度のリンパ球浸潤とpiecemeal necrosisを伴う慢性型炎症を呈する非特異的肝炎の組織所見が得られ,臨床症状と検査所見を総合して肝病変を合併したSLEと診断した.慢性関節リウマチは関節X線所見等から除外され,自己免疫性肝炎はSLEの診断基準と肝生検組織像から否定された.ステロイド治療により本例ではSLEの諸症状が軽快すると共に肝機能障害,免疫学的異常等が正常化し,腹部CT上肝臓のmultiplelow density spotsも消失した.
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