日本臨床免疫学会会誌
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プロピルチオウラシルにてバセドウ病治療中に発症し,中止により寛解が得られた再発性多発軟骨炎の一例
大矢 直子鈴木 康夫市川 陽一伊藤 國彦
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1999 年 22 巻 1 号 p. 30-36

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抄録
症例は31歳女性.鼻根部および両耳介腫脹,疼痛,上強膜炎にて来院. 3年前よりバセドウ病にてプロピルチオウラシル(PTU)の投与をうけていた.血沈133mm/h, CRP 13.2mg/dlと炎症反応が高く,抗核抗体および抗タイプIIコラーゲン抗体陽性であった.耳介生検で軟骨細胞変性と炎症細胞浸潤を認め再発性多発軟骨炎(RP)と診断しプレドニソロン(PSL)30mg/日より投与開始した.自他覚症状は速やかに消失し,血沈, CRPは正常化,抗核抗体,抗タイプIIコラーゲン抗体は陰性化した. PSLを5mg/日まで減量したところRPの再燃を認めたため, PTUを中止した.その後症状改善しPSL中止しても4年間再発していない. PTUはSLE類似症候群やANCA関連血管炎など自己免疫疾患の誘発があることが知られており,また, ANCA陽性のRP例の報告もみられる.本症例はPTUが発症に関与したと考えられるRPの最初の報告例である.
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