日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
敗血症によるDICから脳膿瘍をきたし,低分子ヘパリンの使用が奏功した抗リン脂質抗体症候群の一例
広石 恵才重信 吉孝浅井 光子都築 陽子林 伸樹冨永 幸治松井 聖波田 寿一東野 一彌
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 22 巻 1 号 p. 37-42

詳細
抄録
症例は22歳,女性.入院後,抗リン脂質抗体症候群と診断.ステロイドパルス療法,血漿交換を行ったが,その後,敗血症,播種性血管内血液凝固症候群(DIC)を併発.脳膿瘍,脳内出血を認めた.血液培養の結果, MRSAが検出され,起因菌と考えられた.症状としては静脈内カテーテル刺入部よりの出血以外には認められなかったが,検査結果からも改善が認められなかった事よりFOYからアンチトロンビンIII製剤と低分子ヘパリン(LMWH)に変更したところ症状,ならびに検査結果の改善が認められた.本例のように血小板数が長期にわたり減少しており,また原疾患の治療のみこみがたちにくく,外科的治療を必要とする場合,通常の非分画ヘパリンと比較して抗トロンビン作用がほとんどなく,抗Xa活性をもち出血の副作用が少ないとされるLMWHは有効な治療法と考えられる.
著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事
feedback
Top