日本臨床免疫学会会誌
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薬剤投与を契機に間質性肺炎,血管炎を併発した全身性エリテマトーデスの一例
畠山 牧男溝口 義明隅谷 護人狩野 庄吾若山 宏二ノ村 信正斉藤 建
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1984 年 7 巻 2 号 p. 84-90

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抄録

SLEで薬剤投与を契機に多発性単神経炎,間質性肺炎を発症し,剖検で肺と脳を除く全身の臓器に瘢痕期の血管炎を認めた1症例を経験した.症例は26歳,女性, 24歳時,多関節炎,発熱,蛋白尿にて発症し, SLEと診断. 2年後,抗生剤投与中に発熱,多発性単神経炎,乾性咳,呼吸困難出現. SM, INH, RFP投与後さらに症状は増悪,精神・神経症状も出現した.ステロイド・パルス療法で軽快したが,減量中に再燃, 2ヵ月後死亡した.剖検では肺を除くほとんどすべての臓器に陳旧性の血管炎を認めた.本例はSLE患者の血管炎,間質性肺炎の発症に薬剤が関与し,同じ誘因により発症しても臓器により異なった病態をとる可能性を示した点で重要と考えられた.また血管炎による中膜の破壊と弾性板の断裂は冠状動脈起始部にまで及んでおり, SLEの血管炎が冠状動脈起始部にまで及びうることを示した.

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