日本臨床免疫学会会誌
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全身性エリテマトーデス患者骨髄赤芽球のヘム合成とそれにおよぼす副腎皮質ステロイドの影響
菅谷 直樹杉本 正邦若林 芳久
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1984 年 7 巻 2 号 p. 91-96

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抄録

Krantzの方法を用いて, SLE患者骨髄赤芽球のヘム合成に及ぼすprednisoloneの影響を検討した.
骨髄赤芽球1×106個を非働化した20% AB型血漿, pH 7.4NCTC 109 1.0ml中にエリトロポエチン1単位と放射性鉄を加え,場合によってはprednisolone添加または, prednisoloneで処理した患者末梢血単核球1×106個を加えた後, 37°C 5% CO2で72時間の培養を行った.その後,ヘム中に取り込まれた放射性鉄をTealeの方法で抽出し, γシンチレーターで測定した.その結果:
1) 正常ヒト骨髄赤芽球のヘム合成に対するprednisoloneの影響は認められなかった.
2) 患者骨髄赤芽球のヘム合成はprednisolone添加により著明に改善することが認められた.
3) 患者末梢血単核球をprednisoloneで処理すると正常ヒト骨髄赤芽球のヘム合成に対する抑制がとれることが認められた.
以上の結果はSLEの貧血の原因にprednisoloneに感受性を有する単核球が関与している可能性を示唆するものと思われた.

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