日本臨床免疫学会会誌
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Transfer factorにより一過性にIgGの正常化をみたdysgammaglobulinemiaの1例
吉田 信之宮崎 澄雄柴田 瑠美子
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1985 年 8 巻 2 号 p. 106-109

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抄録
Dysgammaglobulinemia type 1は, IgM増加とIgG, IgA著減を呈する免疫不全症である.著者らは1歳男児で気道感染とリンパ節炎を反復する同症例を経験した.血清IgMは正常上限であり, IgG, IgAは著明に低下していた.分泌IgAも検出できなかった.遅延型皮膚反応やリンパ球芽球化反応など細胞性免疫能は正常であった.
スルホ化γグロブリンによる補充療法を開始したところ,血清IgMは徐々に低下した.発症した間質性肺炎に対しtransfer factor (1単位/週, 4回)を投与したところ, γグロブリン補充療法なしで3ヵ月間血清IgGレベルが正常範囲を維持した.そのメカニズムは不明であるが, transfer factorがIgM産生細胞からIgG産生細胞のswitch機構の増強に何らかの影響を及ぼした可能性が考えられる.
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