抄録
骨髄腫,マクログロブリン血症および良性M蛋白血症(BMG)の患者について,末梢血リンパ球がin vitroで産生するIgのκ/λ比と産生動態を検討した.骨髄腫ではB細胞の産生Igに単クローン化が観察され,マクログロブリン血症ではさらに著明な単クローン化が認められた. BMGでは単クローン化は認められなかった.骨髄腫患者の末梢血の単クローン性B細胞によるM蛋白の産生は, PWMの添加によっても増加せず,経時的産生動態も正常人で2相性であるのとは異なり直線的で, M蛋白産生にはhelper T細胞を必要としないと考えられた.また, M蛋白の産生量は正常人T細胞の添加によっても変化せず,骨髄腫で増加している抑制性細胞(Leu 2a++Leu 7+)の影響も受けないと考えられた.以上の成績は,骨髄腫とマクログロブリン血症では末梢血B細胞に単クローン化が存在し,それらは免疫調節細胞の関与なしにM蛋白分泌細胞に分化しうることを示すものである.