抄録
Wiskott-Aldrich症候群(WAS)の赤血球の膜糖タンパク糖鎖のうち,そのアスパラギン結合型糖鎖構造につき検索した.その結果,正常人およびWAS患児の赤血球膜のアスパラギン結合型糖鎖の酸性糖鎖の主要構造は共通して,複合型のうちのbisectのN-アセチルグルコサミンを有する2本鎖構造であり,ついで根本にフコースを有する単純2本鎖構造がみられ,根本にフコースを有さない単純2本鎖構造は認められなかった.なお,これらの2本鎖構造は非還元末端にシアル酸を1ないし2個有していた.以上のごとく主要構造は正常人とWAS患児間で量的な差は認められたが質的には差異を認めなかった.